【実録、恐ろしい！情報伝達ロス ピッキング編】
情報伝達の稚拙がどのように生産性に影響し、
収益を食いつぶすのか。
実際に私が目にした事例で見てみましょう。
この冬、とある家庭で庭に
ガーデンルームを作っていました。
事件は、そこで起きました。
その日は、完成１週間前で
最終パネルを取り付ける日でした。
そのパネルは一週間前から
運び込まれて置いてありました。
いざ、開梱して取り付けてみると
図面と様子が違います。
そこで、パネルに書かれた品番と
図面上の品番を照合してい見ると
違っていたのです。
「ピッキング・ミス」
パネルのメーカで出荷するときに
倉庫から違うものを取り違えたようです。
そこで、メーカにパネルを返品し、
再度、出荷してもらうことになりました。
その間、１週間。
パネルを取り付ける予定の箇所は、
風雨を凌ぐために簡易的な対策が
施されました。
本来はやらなくても良い作業
・パネルの取り外し
・パネルの返品（再梱包、運搬）
・要すればパネルの再手配
・再出荷と再運搬
・再取付作業
・工期延長に伴う日程調整
・風雨対策
本来は不要なコスト
・上記作業にかかった労務費
・運送費用
・梱包材や風雨対策の材料費
・間違えて出荷したパネルの製造コスト
そして、工期延長による顧客からの信頼、
メーカと施工業者の信頼などが危機に
さらされました。
工事契約の規模によっては、
違約金や提訴にまで発展するかもしれません。
これを単なる「ピッキング・ミス」と
済ませられるでしょうか。
確かに、出荷指示書情報（入力）と物（出力）が
一致しなかっただけです。
でも、多くの現場では
このような「ちょっとした情報伝達ロス」
が日常の中で発生しています。
そして、
「すみません。今後、気を付けます。」
で処理され、帳簿には上がってこなかもしれません。
しかし、確実に収益を圧迫しています。
生産性向上を狙って社員教育して、
必死に改善努力して、
１分１秒の時間短縮を図っても、
ちょっとした情報伝達ロスで
簡単にコストが飛んでしまうのです。
なんと、恐ろしいことでしょう。
でも、この情報伝達ロスを無くすのは
それほど難しくありません。
「ピッキング・ミス」の場合は、
出荷指示書の品番と実際の物に表示されている品番を
照合し消込チェックをするなどが考えられます。
また、品番順に物を並べて置くなど
取り違い防止策も考えられます。
さらには、出荷担当と運搬担当、
現場担当が、それぞれ照合チェックすれば、
どこかで間違いを発見できたはずです。
たったこれだけのことで、
一週間も間違ったパネルが現場におかれ、
取り付けた後に発覚という事態は防げます。
段取り時間短縮や加工時間短縮に
比べれば、専門技術など不要です。
こういった改善を進める場合、
段階的に進めることができます。
1段階目
個人レベルで上記の点を注意する。
2段階目
張り紙などして担当者に注意を促す。
3段階目
出荷時の照合チェックを標準化し
組織全体で遵守する。
基本を守る・・・「守」
4段階目
ピッキング・ミスの回数やロスを
データ化して制御・工夫する。
基本を打破して工夫する・・・「破」
5段階目
ピッキング・ミスの原因を究明し、
標準を改善したり、新たな標準を作り
最適化を図る。
基本を離れ新境地を確立・・・「離」
ここで、3段階目以降で標準を
定着化させたり、自動化して効率化
するためにIT設備を導入することもあります。
例えば、出荷指示書の品番をバーコード化し、
同じ品番のバーコードを物にも添付しておき、
出荷の際に両者のバーコードを読んで、
コンピュータに照合させるなどは、
良くある仕組みです。
人間系の目視照合より、スピードと精度が
圧倒的に優位です。
この場合、人間系によるコントロールでは、
スピードと精度に限界があり、
商機（売上）を逃しているとか、
ロス（コスト）が減らないとか、
それと、IT設備投資額を天秤にかけ、
効果が投資を上回るならIT設備投資
するのが良いでしょう。
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