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 ●企業システム戦略   4.8 予算削減
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 【攻めの変更管理術】

 4.8 予算削減


 これまで、成果物品質上のリスク
 を見てきましたが、

 それ以外にプロジェクト予算に
 対する変更というものもあります。


 予算変更には増減の両面が
 考えられますが、

 一般的に予算が増加するという
 変更は考えにくく、


 万一、予算が増加しても
 リスク損失にはなりません。


 ここでは、予算削減(あるいは予算不足)
 の場合に想定される次のようなリスクに
 ついて見ていきましょう。


 リスクの例


 ■予算超過


 ■品質低下

  機能削減

  性能低下

  信頼性低下

  拡張性低下

  保守性低下


 ■日程短縮・中断・中止


 ■モチベーション低下


 ■要員不足


 業績悪化や他のプロジェクトへの
 資金援助などで予算が削減された
 とします。


 あるいは、予定外に作業時間が増加し
 予算が足りなくなったとしましょう。


 そのまま行けば、
 まずは予算超過のリスクが発生します。


 その予算超過のリスクを回避しよう
 として、品質が低下するという
 リスクが生じます。


 品質低下とは、機能削減、性能低下、
 信頼性低下、拡張性低下、保守性低下
 などです。


 予算超過を防ぐために
 当初予定した機能を削減しなければ
 ならないというリスクが発生します。


 また、予算削減は工数削減に
 つながることが多いので、

 設計作業や試験作業が疎かになる
 ことによって、


 性能や信頼性の低下を招く
 リスクがあります。


 あるいは、購入するハードウェアの
 グレードダウン等によっても

 性能や信頼性の低下を招く
 リスクがあります。


 予算削減によって、
 ギリギリの要件、ギリギリの設計となり、
 拡張性や保守性が低下するという
 リスクがあります。


 拡張性や保守性の低下は、
 運用段階に至るまで長期のリスク
 となって禍根を残すかもしれません。


 また、予算は日程と相関関連が
 ありますので、

 日程短縮へとつながる
 リスクがありますし、


 最悪の場合はプロジェクトが中断したり、
 中止に追い込まれたりするリスクが
 あります。


 予算が削減され、無理な日程短縮や
 プロジェクトの中断・中止が発生すれば、

 要員のモチベーションが低下するという
 リスクが発生します。


 さらに、社外から要員を調達する
 計画であった場合、

 必要な要員が調達できなくなる
 というリスクが発生します。


 要員不足は、既存要員の残業増による
 予算超過、さらなる予算不足、品質低下、
 モチベーション低下につながる
 リスクがあります。