※このブログはソーシャルゲーム・ステーションメモリーを絡めて展開します。不明な表現については無視してください。


Prologue


▲秋の宮温泉のレリーフ地図


9時間乗りづめの上に10時間遅れって、想像できないくらいの長さだな。」

 秋田新幹線「こまち」の外観をモチーフに作られたという角館あけひがひときわ目を丸くして驚いている。


 それは秋田新幹線が開通する10年余りも昔の話なのだ。


 1983年の暮れ夜行急行「津軽」は雪の重みで切断された架線の復旧に手間取り、10時間遅れて横手に到着した。雪は針葉樹林を背景に尚も降り続け、一面の白に埋め尽くされた車窓からは最早列車が徐行しているのか止まっているのかわからない有り様だった。


「やっぱり速く目的地に着ける方がいいだろ。新幹線は遅れても速いぜ!」


 今回の旅ではその「こまち」に乗って横手を訪れた。盛岡から先は単線の田沢湖線を上書きする形で走るのだが、本当に速い。

 かつての「津軽」が走っていた奥羽本線経由よりも距離は長いのだが圧倒的に時間は短縮されている。もしも今どちらかを選べと言われたなら費用が高くつくのを考慮しても新幹線を選ぶだろう。だが


「そうだね


 同意してみせると、あけひは当然だろというように得意げな表情をみせた。


 35年の前のその記憶は強烈だったが、またあの頃のように時間に縛られない旅をしてみたくもある。


▲秋田新幹線「こまち」

▲車窓から望む岩手山


furrow.2 横手を歩く


 ステーションメモリーで横手の町を対象にしたイベントが開催されたので、あけひ達と訪れてチェックポイントを回った。

 横手川は桜を愛でるには遅かったが、それでも八重桜を眺めることができた。


▲横手川べりの八重桜

▲横手川べりの枝垂れ桜


 駅からその横手川を渡ると武家屋敷の残る街並が現れ、過去へ誘われた感覚になる。


▲武家屋敷の街並


 チェックポイントを次々にクリアして最後に城の聳える高台にある横手公園に向かった。まむしに注意の立て看板があるが、まだ連中が活発になる時期でもないだろう。遊歩道というよりは山道に近い未舗装の道を辿って展望台へと至る。

 ここから今来た駅の方角を望むと、春の穏やかな風が吹き抜ける横手の町が眼下に広がっていた。


▲横手公園からの眺め


 ふじわらさんで名物の横手やきそばを食べて横手の町を後にする。


furrow.3 奥羽本線と横堀駅


 横手から湯沢までは雄物川沿いの平地が開けて隣接した街並が連なっている。そこから山形との県境を控えて車窓に山裾が迫ってくるあたりに横堀駅があった。

 この駅に降りるのは初めてである。開設は1905(明治38)と古く、奥羽本線の開業と共に誕生して永らく旅客と貨物の取扱をしていたが1986(昭和61)に簡易委託となった。


 かつての夜行急行「津軽」の停車駅で7:26の発車であったが、35年前の冬に旅した時この駅には10時過ぎくらいに辿り着いた。真室川を出てから県境をこえるまでに相当時間を要した記憶がある。


 現在の駅舎は開業当時のものと異なるが、駅務室やキオスクのあった一角にカーテンが降ろされているので簡易委託時代かそれ以前に建て替えられたものではないかと思う。


▲横堀駅


furrow.4 秋の宮温泉郷の概要


 秋の宮温泉郷は横堀駅から役内川づたいに宮城県境の方向へ20km程遡った位置にある。バスは通っていないので宿泊する宿から送迎をしていただいた。


 秋の宮温泉郷と呼ばれるように、このあたりの役内川の流域の至る所から様々な泉質の湯が湧いていて、スコップで河原を掘ると独自の露天風呂を作れる「川原のゆっこ」のような施設もある。それだけ湯脈が豊富なのだろう。そのため鷹乃湯、稲住など5軒それぞれの宿ごとに自家源泉をもっている。なんでも4050もの源泉数があり各家庭にも引湯されているらしい。

 秋田県で発見された最古の温泉群でもあり、日本秘湯を守る会にも属している。


 今宵ご厄介になるのは秋ノ宮山荘さんで、役内川の上流寄りから山懐へやや入った場所に宿を構えていた。


furrow.5 秋ノ宮山荘の泉質と特長


 秋乃宮山荘は塩化物-ナトリウム泉で、毎分350リットルを誇る自家源泉をもっている。

 源泉の温度が98.0℃と高温なため加水されているが元が濃厚であるから広々とした浴室の他、豊かな緑の生い茂る屋外に露天風呂も備えていてこれらに惜し気もなく掛け流される。


 成分表を見ると、アニオンとカチオンのうちでそれぞれ特化した塩素、ナトリウムのほかではメタホウ酸、メタ珪酸の成分が規定値を上回っている。


 男女別の浴室には中央に大きなつぼ湯のような円形の浴槽があるほか、外光を採り入れた明るいガラス張りの長い内風呂には寝湯やジャグジーなどのアクティビティを備えて近代的である。

 源泉は高温であっても浴槽の湯は適温でしかしながら湯から出ても久しく汗の引かない、しっかりとした食塩泉の特長がよく感じられる。


▲秋ノ宮山荘内風呂

▲秋ノ宮山荘露天風呂


▲秋ノ宮山荘成分表


Epilogue

 横手と秋の宮温泉郷を旅してのヒューマノイド達の感想


あけひ



 横手のあの時代劇に出てくるようなお屋敷かっこよかったな。城にも入ってみたかったぜ

(時間がなくて城の中まで入れなかったんだよね。また行く機会があるだろうからその時は)


にころ



 秋の宮温泉郷の川原の露天風呂で出店でも出したら儲かりそうでしゅね。

(実は出前で色々届けてくれるシステムがあるんだとか



なより



 横堀は逓信省時代に鉄道が開通していたなの。歴史のある町だったらしいの。

(そう、明治期はライフラインがまだ未整備だったから想像を絶する苦労があったろうね