※このブログはソーシャルゲーム・ステーションメモリーを絡めて展開します。不明な表現については無視してください。

 

Prologue

 駅は石動だけど小矢部市なの。郵便局は石動がつくのと小矢部がつく名前の局が両方あるなの。どうしてなの…

 ヒューマノイドのなよりが地図を見ながら不思議そうに尋ねてくる。

▲石動駅と宮島温泉のレリーフ地図

 

 小矢部市は昭和の中期1962年にそれまでの石動町と砺中町の合併による市政施行で生まれたものだが、名前の由来は町を流れる小矢部川である。しかしその小矢部川は上流に小矢部という集落が存在していたことによる。

 市政施行当時はかなり反対運動があったそうなので、両町以外の名前をもってきて市名としたのかもしれない。

 自治体としてはなくなった石動だが駅名や古くから存在した郵便局にはその名を留めている。

 

 訪れた前の年に北陸新幹線が開通したことにより平行する区間の北陸本線は第三セクターとなり、石動駅はあいの風てやま鉄道の属することとなった。

 

furrow.2 石動駅と加越能鉄道加越線

 

▲加越能鉄道路線図(ピクトは駅メモの属性)

 

 石動駅はかつて加越能鉄道加越線という地方私鉄の起点であった。この路線は1972年に廃止されているので、辛うじて小生は生まれていたがもちろん乗車機会もなければ営業中に知ることもなかった。

 石動駅から南へ延伸していた営業距離19.5kmの単線は、途中で現在の城端線福野駅と接続して砺波市の庄川町(開業当時は青島駅)という所に至った。

 加越能鉄道は富山地鉄の子会社で、加越能鉄道発足まで加越線は富山地鉄が経営していたが開業は砺波鉄道によるものでありその後加越鉄道に改称された。富山地鉄に統合されたのは1943年である。

 加越線は廃止後バス路線となった。また、加越能鉄道は同線以外にも鉄道線をもっていたがいずれも昭和期に廃止を迎えており、現在は加越能バスと名前を変えている。

 

 加越線の道床はサイクリングロードとしてその遺構を残すことになった。いつか訪れてみたいものである。

 

furrow.3 石動駅から宮島温泉へ

 

 宮島温泉は加越能鉄道とは反対に石動駅から北の方角にあって、コミュニティバスの森屋ゆきに揺られることおよそ30分で到達する。

 途中から子撫川に沿って地方道を曲折しながら進んでゆくが、6月の豊かな緑をたたえた景色はなかなか目に潤わしく車窓は楽しい。それでいて200円の均一料金なのでなにやら申し訳ない気持になる。

 旅行者なんぞ生活に関係なく娯楽で訪れているのだから倍以上取ってよい。そのかわり土産とか宿泊とか地域に金を落とす際に割引券などで還元してやってはいかがかと思う。

 そんなことを吠えていると、それならタクシー使えよなどと言われそうだがタクシーは贅沢なので滅多なことでは使わない。

 旅とは不便を攻略してこそ愉快なのであり、神器を振りかざすのは最終手段である。

 

 その景観がいよいよ美しさを増してゆく宮島峡にさしかかるあたりに宮島温泉滝乃荘はあった。山がちの情景に佇む一件宿だが秘境と呼ぶほど山腹深くに分け入ってはいない。このあたりの標高はせいぜい70mである。

 自然に詳しい人であれば植生とか生態でどの程度山深いのかわかるのかもしれぬが、地理学をたしなんでも温泉やら酒の方面にマニアっくになってしまったのでネイチャーガイドのように含蓄が役立たなくていけない。

 

 さて、そんな腑抜けガイドにとって富山にはもっと絶景を望む温泉がたくさんあるのだが、この温泉を選んだのはロケーションばかりではなく湧出する湯が濃厚で24時間入浴できるほど湯量も豊富だからである。

▲宮島温泉滝乃荘外観

 

furrow.4 宮島温泉滝乃荘

 

 やや早めに着いたので部屋へ荷物を降ろしてそのまま浴槽へ向かう。浅く湯が張られた内風呂からも夕映えの光に照らされた新緑のさざめきを望めるが、子撫川の流れを見下ろす位置に張り出した露天風呂の開放感が心地よい。適温の湯で火照った身体を川風で冷ます、温泉と森林浴のWマイナスイオン効果で著しく健康が増進しそうである。

 浴感もさることながらやや白くささ濁った掛け流しの源泉は、焼けたような鉱物臭で浴室を満たしていて成分の濃厚さを感じる。

▲宮島温泉滝乃荘内風呂

 

▲宮島温泉滝乃荘露天風呂

 

 成分表を見ると総量が3,800mg/ℓと泉質規定値の4倍近くあるので相当なものである。

 浴槽も広く、24時間休まずに湯口から迸り続けているのだから湧出量もかなりあるのだろう。

 北陸には沢山の名泉があって、景色や食事の派手さや豪快さではそれらに太刀打ちできないかもしれないがこの宮島温泉も紛ごうことなく屈指の良泉だと思う。

 

▲宮島温泉滝乃荘成分表

 

 温泉でマイナスイオンを満喫したあとは、酒と魚で鋭気を養う。腑抜けになっていても五臓の方は闊達なので山の幸、海の幸の彩りを不粋に貪り尽くす。

 

 そして湯に浸っては酒をあおる…俗なる夜は遅くまで続くのである。

 

furrow.5 宮島峡

 

 宮島温泉は子撫川が育む宮島峡の絶景の只中に位置する。宮島峡は上流へ向かって一の滝から三の滝まであるそうだからこれを辿ってみようと思う。

 

 まずは宿からやや下流の一の滝から散策を始める。

 滝といっても落差はほとんどないのだが、川幅が広くて落ち込む際が彎曲して趣がある。滝の向こうに時節柄緑のレイヤーが透けて見えるのも妙味である。規模としてはミニチュアだがナイアガラに似ていなくもない。

▲宮島峡一の滝

 

 続いて二の滝。一の滝よりも落差はあるがそれでもせいぜい3,4mといった段差。しかし地層の紋様や低木の緑とのコントラストなど鮮やかで印象深い。間近に聞こえる水音も心地よくて、ひとしきり足を止めて佇む位の魅力はあるだろう。

 

▲宮島峡二の滝

 

 滝巡りのための遊歩道を辿る途中でアリスの橋などというおまけもあって、これを渡って三の滝へ赴く。三の滝は滝というほどの段差はなくて、竜宮淵という異名の方がしっくりするのだが自然が作った美観である点に変わりはない。

 

▲アリスの橋

 

▲竜宮淵

 

Epilogue

 宮島温泉を旅してうちのヒューマノイド達の感想

 

ありす

 アリスの橋があったよぉ。有名になったもんだねぇ…

(カタカナだから違うと思いますが…)

 

にころ

 コミュニティバスはおトクでしゅね。いやいや、もっとお金とらないとでしゅ

(うむ。地元の人は生活路線だからあの運賃として観光客との格差はあっていいと思う)

 

るる

 山に囲まれてるのに、お魚がおいしいんやなぁ…

(元々日本海がすぐ近くだからね)