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心理コンサルタントの白瀧です。
さて、みなさんは、
『哲学的ゾンビ』
という言葉をご存じでしょうか。
分かりやすく説明すれば、例えば、医療や科学技術が進歩し、ウイルスや人工知能、ロボットの研究でも大きな進展が見られた近未来において、ある研究チームが、死人を生き返らせることのできるゾンビウイルスを開発したとします。
このゾンビウイルスで生き返った死人は外見や行動、言語能力など、元の人間に非常に近い能力を持っています。
この研究チームは、元の人間の脳の構造と機能をほぼ完全に生き返らせるウイルスを開発しましたが、このゾンビウイルスでゾンビとなって生き返った死人には意識や感情が全く存在しないことがわかりました。
つまり、このゾンビは外見や行動だけでなく、物理的にも全く人間と同じように振る舞いますが、意識や感情がありません。
このゾンビは周囲の環境に反応し、知覚し、行動しますが、それらの反応はすべて機械的な計算処理によって実現されているとされています。
果たして、私たちは、このゾンビと人間を見分けることができるでしょうか。
これが、「哲学的ゾンビ」の思考実験です。
思考実験とは、言わば考えるゲームのようなもので、実際の実験を行わずに頭の中で問題を考えるものです。
この思考実験は、意識や心の問題を探求するために、オーストラリアの哲学者デイビット・J・チャーマーズ氏によって考えられました。
哲学的ゾンビに登場するゾンビは、見た目は普通の人間ですが、意識がありません。
感情が表に出ていても、それは機械的に計算されて出力されているだけに過ぎません。
このような場合、哲学的ゾンビと人間とを区別することは非常に難しいでしょう。
私たち人間でも、表に出している感情と心の中で実際に思っていることが必ずしも一致しているとは限りません。
・納得していないけど、とりあえず「ごめん」と謝っておこう。
・もらったプレゼントが嬉しくないけど、とりあえず「やったー」と喜んでおこう。
・ケンカをしているときに「お前なんか死んじゃえ」と言ってしまった。
など一致していないことが多々あります。
つまり、人間でさえも、相手の感情を完全に読み取ることは不可能なのです。
それが、家族や友人、パートナーであっても同じことです。
だからこそ、相手の関心に関心を持つ、という共感の能力が必要になってくるのです。
相手を理解するためには、大いなる努力が必要です。
この努力をなおざりにすると、人間関係は一気に悪化へと進むことになってしまいます。
家族やパートナーとの関係が時に修復不可能なまでに悪化してしまうのは、お互いに近過ぎて、相手を理解しようとする努力を全く忘れてしまっているからなのです。
そのために、相手に対する憎しみだけが増幅されるのです。
あるいは、自分の気持ちを理解してもらうことばかりを考えて、相手の気持ちを無視してしまっているのです。
人は、他人を理解するためにはお互いに努力が必要であるということを、常に忘れずにいたいものです。
【参考文献】
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