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心理コンサルタントの白瀧です。
さて、心理学では、
「自尊心が大切」
などということがよく言われます。
この自尊心とは、
「自分で自身のことを肯定することができ、誰からも邪魔されることなく自分に存在価値があると感じることができる気持ち」
と定義されています。
また、よく似た言葉に「自己肯定感」というものがあります。
こちらは、
「自分の能力や過去の経験を肯定的に評価することができる感覚」
だと定義されます。
要は、自尊心は「自分自身の存在そのもの」をどれだけ価値があるものとして認識しているか、ということであり、一方の自己肯定感は、「自分の行動や能力」をどれだけ肯定的に捉えているかに焦点を当てたものだと言えるでしょう。
この自尊心について、書誌学者として知られた谷沢永一氏は、その著書『人間通』の中で、自尊心には三種類あると述べています。
第一種は、己れの器量と業績を冷静に自己評価し、十分な満足感を以て自認自足している静謐型。
第二種は、けたたましく騒がしい宣伝屋(チンドンヤ)で、自尊心は人に倍して高ぶっているのに、誰も認めてくれず褒めてくれないものだから、自分を大映し(クローズアップ)すべくさまざまな舞台装置をしつらえる。
そして、第三種は、遠く近くの多少とも関係ある他人の群像を罵倒して自ら高しとし快とする当り散らし屋。
というわけです。
しかし、これは、自尊心というよりも、劣等感の補償の仕方による違いだと言えるかもしれません。
第一種は、自らの能力に確固たる自信を持っているために、自分の劣等感を克服できるものと冷静に判断し、それを補償するための努力を静かに続けている、と言えるでしょう。
第二種は、自らの能力に対して自信を失っているがゆえに、自分の劣等感を第一種のような方法では克服することができないと思い込み、自分を大きく見せるような舞台装置をしつらえることによって、自分の劣等感の穴埋めをしている、と言えるでしょう。
そして、第三種は、これも、自らの能力に対する自信を失っているがゆえに、自分の劣等感を第一種のような方法では克服することができないと思い込み、他人を罵倒することによって、さも自分が偉くなったかのような錯覚に陥り、そのことで劣等感の穴埋めをしている、と言えるでしょう。
つまりは、これらの種類は、自尊心そのものの種類というよりは、その人が持っている自尊心によって生まれる劣等感に対する補償の仕方の違いだと言えるのです。
そして、谷沢氏は、第二種と第三種を、堕落した形態の自尊心として位置づけているのです。
【参考文献】
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