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心理コンサルタントの白瀧です。
さて、最新の脳研究において、利己的な行動を取る人と利他的な行動を取る人との間で、その脳に違いがあるのかを調べた研究があります。
利己的な行動を取る人として対象となったのは、サイコパスと呼ばれる人たちで、彼らは、反社会的で極端に利己的な行動を取ります。
これに対して、利他的な行動を取る人として対象になったのは、見ず知らずの人に自分の腎臓の一つを無償で提供した人たちです。
まったく知らない赤の他人に、自らのリスクも顧みず、自分の腎臓の一つを提供できるというのは、究極の利他的行動と言えるだろうという観点からです。
この両者の脳を調べたところ、『扁桃体』という部位に大きな違いがありました。
扁桃体は、不安や悲しみなどの情動を司る脳の部位ですが、他人の不安や悲しみの表情にも反応することが分かっています。
言ってみれば、人の共感能力に関係のある部位だと言えるでしょう。
この脳の部位が、サイコパスの人たちは、一般的な人よりも小さいことがわかりました。
それゆえ、他人に対する共感能力に乏しく、極端に利己的な行動を取ることができるのだと考えられます。
一方、腎臓を提供した人たちは、もうお分かりだと思いますが、一般的な人たちよりも扁桃体の大きさが大きかったのです。
それゆえ、他人に対する共感能力に優れていて、究極の利他的行動を取ることができるのだと考えられます。
そして、このような人たちは、自分に対する関心よりも他者に対する関心を大きく持ち、とても謙虚だという特徴を持っていました。
アドラーは、共感とは、他者に対して関心を持つことであり、他者に共感し他者に貢献しようすることを、『共同体感覚』という言葉で表現しています。
そして、この共同体感覚は、あくまでも一つの可能性であって、意識して育んでいかなければならない生得的な素質だと述べています。
つまり、放っておいても勝手に開花するというような能力ではなく、人が成長する過程で育てていかなければならない能力だと言うことです。
人の脳は、鍛えることによって発達することが分かっています。
利他的な行動を取る人たちの扁桃体が大きく発達していることは、あるいは、アドラーの言うところの、「共同体感覚とは、意識して育てていかなければならない生得的な素質」だということを現しているのかもしれません。
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