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心理コンサルタントの白瀧です。
さて、吉田兼好の随筆『徒然草』の中に、『高名の木登り』という話があります。
これは、木登り名人として名高い男、まあ、今でいうところの庭師のようなものでしょうか。
その男が、自分の弟子に命じて、高い木に登らせて梢を切らせに行かせるときの状況を描いた話なのですが、
目もくらむような高いところで作業をしているときには、彼は、何も声を掛けません。
ところが、弟子が家の軒先ぐらいの高さまで下りてきたときに、
「気をつけろ。怪我をするな」
と声を掛けました。
そのことを不審に思った兼好は、
「本当に危ない高いところにいるときには、何も言わずに、なぜ、飛び降りても大丈夫そうな高さまで下りてきたとき、声を掛けたのですか?」
と尋ねたところ、
「人は、自分でも危ないと思っているときには、とても注意をして行動するので失敗しづらいものですが、もう大丈夫だと油断したときにこそ、失敗しやすいものだからです」
という返事が返ってきました。
それを聞いた兼好は、彼は身分の低い者ではあるが、彼の言っていることは、徳の高い人と同じだと感心します。
私たちは、往々にして、何を言っているかよりも、誰が言っているかということを重要視する傾向にあります。
「この人が言っていることだから、正しいだろう」と。
そうして、その言葉を鵜呑みにして失敗したりします。
あるいは、子どもの言っていることだからと、その言葉を頭ごなしに否定して、子どもの勇気をくじいたりしてしまいます。
重要なことは、「誰が言っているか」ではなく、「何を言っているか」。
誰が言っていることなのか、あるいは誰がやっていることなのか、という、その『主語』にばかりに注目するのではなく、その人が何を言っているか、あるいは何をやっているかという、その『内容』に注目するようになれば、もっとものごとの本質を見極められるようになるのではないでしょうか。
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