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心理コンサルタントの白瀧です。
さて、昨日、『不安の目的』と題して、不安という感情には、他人を支配するという目的が隠されている、ということを書きました。
それに対して、
「では、不安は、どのようにして解消すればいいのか?」
というご質問をいただきました。
アドラーは、その著書『人間知の心理学』の中で、不安について、次のように述べています。
ある人間のまわりの人々に対する敵対的態度のなかに、不安という特徴を見出すのは稀ではない。
(中略)不安は非常に広範囲にわたって見られる現象であって、幼児期の初期から老年に至るまで人間についてまわり、人生を途方もないほど辛いものにし、仲間と一緒になって平和な生活と実り豊かな業績を生み出すのに不適当なものしてしまうのである。
なぜなら、恐怖は、人間生活のあらゆる関係にまで及びうるからである。
人は外の世界を恐れることもありうるし、自分自身の内的世界に恐怖を抱くこともありうる。
そういう人は、社会を恐れるがゆえに社会を避けているように、ひとりでいることも恐れることがある。
不安な人間のなかに見られるものはまたしても、より多く自分のことを考えることが必要だと感じる人、そのため他の人のことを考える余裕がないような人たちである。
こういう人が一度、人生の諸困難から逃亡するような観点を身につけてしまうと、この観点は、不安の増大によって異常に深められ不動のものにされてしまう。
実際、何かを企てなければならないときに最初に感じることが不安だという人たちがいる。
つまり家を出るときとか、同伴者と分かれるときとか、ある職に就こうとするときとか、恋に落ちたときとかである。
彼らは、人生や仲間とあまりにもわずかしか関わらないので、それまでに慣れていた状況が変わる度に、恐怖を感じるのである。
私たちは、ものごとに失敗することを恐れます。
それは、周囲を敵に囲まれていると感じ、自分の味方は自分一人しかいない、という孤立感の中で生きているからに他なりません。
それゆえ、周囲の目を恐れ、他人の評価を気にし、
「こんなことに協力を求めれば、バカにされるのではないか?」
「失敗すると見捨てられるのではないか」
という恐怖にさいなまれます。
それが不安を生み出し、ものごとを避けるさまざまな言い訳を作り出そうとするのです。
そして、このような不安を解消する術として、アドラーは、次のように述べています。
人間の不安は、個人と社会とを結ぶ帯によってのみ解消されうるものである。
自分が他者と結ばれているのだということを意識する者だけが、人生を不安なしに生きることができるのである。
周囲の人との間に信頼関係を築くことができれば、私たちは、周囲の目を恐れ、他人の評価を気にすることなく生きていくことができます。
そうすれば、周囲の人たちに、自分一人ではできないことの協力をお願いすることも出来ます。
また、失敗すれば見捨てられるのではないか、という恐怖にさいなまれることもありません。
それゆえ、ものごとに対する不安を、以前ほど感じなくなることでしょう。
要するに、周りの人たちとの間に協力関係を築くことができれば、私たちは、自らの殻に閉じこもっておく必要がなくなるのです。
不安という感情を解消するには、自らの不安と向き合い、それが何に対する不安なのかということを素直に表現することができるような、そんな自分自身と他人とを信じる勇気が持てるように努力することなのでしょう。
【参考文献】
人間知の心理学―アドラー・セレクション
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