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心理コンサルタントの白瀧です。
さて、私たちは、自分の人生が思うように行かなかったり、成功することができなかったりすると、それを、往々にして環境のせいにする傾向にあります。
親が悪い。
貧しかったから。
抑圧されていたから……などなど。
つまり、今の状況には、その原因がある、と言いたいわけです。
確かに、因果関係を用いれば説明しやすく、理解もしやすいものでしょう。
しかし、この場合には、なぜ同じような環境下で育っていながら、違う人生を歩む人たちがいるのかという事実には、完全に目を瞑ってしまっています。
たとえば、人道的社会主義の哲学者であり、近代ヨーロッパの思想に大きな足跡を残したアントニオ・グラムシという人は、貧しい小作農の小屋に生まれ、しかもくる病でした。
彼の父親は、何年も投獄され、家族は食うや食わずの日々を過ごすとても貧しいものでした。
後にわかったことですが、父親の投獄は不正投獄だったということです。
また、彼は子どものころ病弱だったので、彼の母親は数年の間、朝までに彼が死ぬことを予想して毎晩彼に一張羅の服を着せ棺の中で眠る用意をしたそうです。
このような状況下では、まさに希望のある出発と言えるものは何もなかったことでしょう。
しかし、彼は生きることに努め、教育を受けるまでにこぎつけました。
そして、教師としての安定した生活の保証を手に入れてからも立ち止まることをしませんでした。
彼が真に望んだ生活は、母親の健康を損ない父親の名誉を破壊した社会状況に戦いを挑むことであったからです。
その後彼は、大学の教授、国会議員、そしてファシズムに対抗する恐れを知らぬ指導者になりました。
ムッソリーニが作った監獄の一つで死ぬ間際まで、彼は、私たちが残酷で貪欲であることを止めれば実現するだろう素晴らしい世界についての論文を書き続けていたのです。
彼の人生を見れば、その人生に影響を与えていたものが、彼が育った環境という原因ではなく、どのように生きるかという目的であった、ということがよくわかります。
私たちの人生を形作るものは、どのような環境で育ち、どのような体験をしてきたか、という原因ではないのです。
人生を形作るものは、私たちが体験から何を学び、何を訓練し、そして、どのような人生の目的を持ったのか、ということなのです。
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