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心理コンサルタントの白瀧です。
さて、私たち社会的な生き物である人間にとって、他人に共感し理解する能力は、他人と共存し社会的な生活を営む上でとても重要な能力です。
では、私たちは、多様な価値観が存在する社会の中で、自分とは違う価値観を持つ他人の行動をどのように理解しているのでしょうか?
これは、古くからある議論で、大きく分けて二つの説があります。
一つは、『シミュレーション説』。
これは、
他人の心のプロセスをあたかも自分のことのように心の中で再現してみる、
という説であり、
これには、
脳の中の『ミラーニューロン』という細胞が関わっていることがわかっています。
ミラーニューロンに関しては、以前にも記事にしましたが、自分がある行為をしているときだけでなく、他人がその行為をしているのを見ているだけでも活動する細胞で、別名を『ものまね細胞』とも言われています。
私たちは、この細胞によって、他人の行動を頭の中で再現し、その行動の意味を理解しているものと考えられています。
一方、これとは違う考え方が、『行動パターン説』です。
これは、
シミュレーションすることは不必要で、他人が何にどう反応するかのパターンを学習することによって、その行動の意味を理解している、
というものです。
ミラーニューロンが発見された後も、この行動パターン説は、なくなったわけではありませんでした。
そして、最近の脳研究によって、私たちは、このシミュレーション説と行動パターン説の両方を使って、他人を理解していることがわかったのです。
つまり、脳は、シミュレーションを通して他人の行動の意味を学習するだけでなく、他人の行動を観察することにより、その学習をたえず補正することで、他人の行動の意味をより精緻に理解しようとしていることがわかったのです。
言うなれば、私たちは、『シミュレーション説』と『行動パターン説』の両方を使うハイブリッドという高度な方式によって、他人の行動の意味を理解しているわけです。
これは、複雑な社会生活を営む人間が、その進化の過程で、より深く他人を理解するために獲得していった能力なのでしょう。
しかし、それにも関わらず、私たちにとって、他人を理解することがこれほど難しいのはなぜなのでしょうか?
そのことは、また次回に書きたいと思います。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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