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心理コンサルタントの白瀧です。
さて、以前に、次のようなニュースがありました。
『脳科学で解明、人が自分について語りたがるわけ―氾濫するSNS』
自分について話すことが、食べ物やお金で感じるのと同じ「喜びの感覚」を脳の中に呼び起こすことが、7日発表された研究で明らかになった。個人的な会話であっても、フェイスブックやツイッターといったソーシャルメディアでの発信であっても、それは変わらない。
日常会話の約40%は、自分が何を感じ、どう考えたかを他人に話すことで占められている。米ハーバード大学の神経科学者らが脳画像診断と行動に関する5つの実験を行い、その理由を解明した。
(中略)
「セルフディスクロージャー(自己開示)」は特に満足度が高い」と同大学の神経科学者、ダイアナ・タミール氏は話す。
(中略)
「セルフディスクロージャー」への傾倒度合いを測るために、人は自分の考えや感情を話す機会に対し、通常より高い価値を置くかどうかを検証するテストが実験室で行われた。また、自分のことを他の人に話している間、脳のどの部分が最も興奮しているのかを検証するために、参加者の脳の活動がモニターされた。
(中略)
自分のことではなく、たとえばオバマ大統領など他人に関する質問に答えることを志願者が選んだ場合、上限4セントまで段階的に設けられた基準に応じて、志願者にお金を支払った。
(中略)
ところが金銭的な動機づけにも関わらず、参加者は自分について話すことを好むことが多かった。
(中略)
一般的に、セルフディスクロージャーを行うと中脳辺縁系ドーパミン経路に関わる脳の領域の活動が高くなる。ここは食べ物やお金、セックスなどで得られる満足度や快感と関係している部分だ。
テキサス大学の心理学者、ジェームズ・ベイカー氏は「これは真実だと思う」(中略)「人は、他人に話を聞いてもらうの好きなのだ。そうでなかったら、どうしてツイートするだろうか」と述べた。
以上。
まあ、4セントと言えば、日本円に換算すれば、約4円ほど。
アメリカと日本では流通する通貨の価値が違うので、簡単に比較するわけにはいかないかもしれませんが、4円で、果たして金銭的な動機づけがあると言えるのかどうか、疑問のあるところです。
これが、たとえば、上限を4千円ぐらいにしても、参加者が自分のことを話すことを選んだかどうか。
金銭的な動機づけと言うからには、せめてそれぐらいの金額にしてもらいたかったところです。
そんなことはさておき、人が自分のことを話すのが好きなのは事実かもしれませんが、しかし、それは、人の本質のあくまでも一部のことでしかありません。
人は、ただ自分のことを話すことが好きなのではありません。
もしそうであるなら、それは、独り言であっても構わないわけで、そうなってしまうと、街中至るところで、自分のことについて独り言を言っている人たちで溢れかえることになります。
そうならないのは、人は、自分のことを話すこと自体が好きなのではなく、心理学者のジェームズ・ベイカー氏が言われている通り、『他人に自分のことを聞いてもらうこと』が好きだからです。
私たちの脳が報酬を得るためには、自分のことを話しているだけでは足らなくて、必ずそのことを誰かに聞いてもらう必要があるのです。
誰かに自分のことを聞いてもらって初めて、脳は喜びを得るのであり、私たちは、一種の優越感に浸ることができるのです。
たとえ自分のことを話しても、相手の人が自分の話を適当に聞いていたり、あるいは、話をした後に自分の意見を否定されたりすれば、決して脳は報酬を与えることはしてくれません。
そのような場合には、自分のことを話したことが、かえって自分を不愉快にしてしまいます。
ツイッターにしても、フォロワーの人がいるからこそ、ツイートするのが続けられるのであって、誰も見てくれていないと分かれば、ツイートすることを止めてしまうでしょう。
人が喜びを感じ、優越感に浸れるのは、あくまでも誰かに自分の話を聞いてもらえたときなのです。
カウンセリングの基本が相手の話を聞くことであるのは、人が持っているこのような本質によるためです。
このことを理解していれば、他者との接し方も少しは変わってくるのではないでしょうか。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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