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心理コンサルタントの白瀧です。
さて、児童虐待は、幼い命を奪ってしまう危険を孕んでいるだけでなく、虐待を受けた子どもが成長して親となると、同じような児童虐待を繰り返すという負の連鎖を引き起こす危険をも孕んでいます。
そのため、虐待の早期発見につながる、より効果的な対策が早急に待ち望まれるところでもあります。
最近では、統計のうえで減少傾向にあるとの説もありますが、しかし、表面化している児童虐待が、おそらく、その氷山の一角であることは間違いないものと思われます。
そして、悲惨な児童虐待の事件が明るみに出るたびに、それが増してや母親の犯行であればあるほど、メディアは、幼い子どもを虐待し死に至らしめた母親の非人道的な行為に対し、
「わが子を愛さない母親はいない。こんな母親は人間じゃない」
などと非難しては、母親の持つべき子どもへの愛情をことさら強調しています。
もちろん、児童虐待が許される行為でないことは言うまでもありません。
しかし、「わが子を愛さない母親はいない」という世間の神話が、ある意味では、児童虐待の早期発見を遅らせることに繋がる側面を持っていることに気づいている人は、ほとんどいないのではないでしょうか。
脳科学的な観点から言えば、母親の子どもに対する愛情には、セロトニンという脳内物質が関係しています。
そして、脳内でこのセロトニンの分泌量が減ると、母親は、自分の子どもに対して愛情を感じなくなります。
つまり、セロトニンの分泌量が減ると、母親は、わが子を愛せない状態になるのです。
要するに、わが子を愛さない母親はいないかもしれませんが、わが子を愛せない状態の母親は、確かに存在するわけです。
この脳内物質であるセロトニンの分泌量が減る要因の一つとしては、過度のストレスが挙げられます。
不慣れな子育てから来る過度なストレスにさらされ、セロトニンの分泌量の減った母親が、子どもへの愛情を感じられなくなるのでしょう。
しかし、「わが子を愛さない母親はいない」という世間の神話を前にして、自分の今の状態を誰にも相談できずに一人で悩んでしまうのです。
そのため、子どもの反応にイライラして、つい「しつけ」と称して虐待をしてしまう。
そして、その自分の行為に自己嫌悪を感じ、また、「わが子を愛さない母親はいない」という世間の神話から、子どもを愛さなくてはならないと過度に思い込み、それができない自分はダメな母親だと自分を責めてしまいます。
それがまたストレスとなり、その結果、セロトニンの分泌量を減らし、ますます子どもへの愛情を感じなくなってしまいます。
そして、それが子どもへの虐待をますます助長する結果となり、この負の連鎖がどんどんエスカレートしていくのでしょう。
従って、周囲の人たちは、ストレスによって母親が子どもを愛せない状態になることを十分に理解し、そのような母親を受け入れることが重要です。
そして、わが子を愛せない状態の母親に、ただ「わが子を愛するようにしなさい」と無理なアドバイスをするのではなく、ストレスによって母親にはわが子が愛せない状態のときがあること、そして、そのようなときには、周囲の人たちに子育てを協力してもらっても母親失格ではないということを理解してもらう必要があるのです。
では、親が子育てに対してストレスを感じるのはどうしてなのでしょうか?
それは、人間の成長に対して誤った認識を持っているからに他なりません。
そして、その誤った認識を基に子どもと接しているために、親の認識と実際の子どもの反応との間に大きなズレが生じているのです。
それゆえ、そのズレに戸惑い、
「親の言うことをまったく聞こうとしない。
一体、どのように対応すればいいのだろうか?」
と途方にくれ、ストレスが募っていくのです。
それゆえ、この子育てへのストレスをなくすためには、人間の成長に対する本質的な理解を深める必要があるのです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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