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心理コンサルタントのしらたきです。
さて、吉田兼好の『徒然草』の中に『高名の木登り』という話しがあります。
おそらく、みなさんも古典の時間に目にされたことがあるのではないでしょうか。
高名の木登りといひし男、人を掟てて、高き木にのぼせて梢を切らせしに…
と原文を全て書くと長くなりますので、ここでは、話の内容だけを掻い摘んで書きたいと思います。
木登りの名人として有名な男が、人を指図して高い木に登らせて梢を切らせていた。
高くて危ないところで作業をしているときには、ただ見ているだけで何も言わなかったが、軒先ぐらいの高さまで降りてきて作業をしていると、
「あやまちをするなよ。注意して降りてくるように」
と声を掛けた。
なぜ、飛び降りても大丈夫なくらいのところにまで降りてきたときに声を掛けたのか、と尋ねたところ、
「高いところで緊張しながら作業をしているときは、本人も気をつけているから大丈夫ですが、低いところで安心して油断したときにこそ、人はミスを犯しやすいものだからです。」
と答えた。
身分の低いものの言うことではあるが、言っていることは、聖人の戒めにも通じるところがある。
というような内容の話しです。
私たちは、往々にして、『その人が何を言ったのか』ということよりも、『誰がそのことを言ったのか』ということの方に目を奪われがちになります。
たとえば、
「あの人が言っていることだから、安心だ」
と思ってみたり、
「新聞やテレビで報道されているんだから正しいに違いない」
とその情報を鵜呑みにしたり、
「週刊誌に載っていることだから胡散臭い話だ」と思ったりします。
あるいは、仕事においても、新人や後輩のやった仕事は信頼できないので十分確認をするのに対して、先輩や上司のやった仕事は、
「あの人がやったことだから、大丈夫に違いない」
とほとんど確認しないでそのままにしてしまうことが多々あります。
しかし、そんなときにこそ、よく失敗が起き易いものなのです。
高名の木登りも言っているとおり、人は慣れたり油断したりしたときの方が、ミスを犯しやすいものだからです。
このように、ものごとを事象そのもので捉えるのではなく、その背景に影響されることを『威光効果』と言います。
私たちは、この『威光効果』の影響を受けてものごとを判断していることが多いのです。
ものを購入するときでも、
「このブランドの商品だから、安心」
などと思って、商品をあまり確認しないで購入していることはないでしょうか。
そんなときに限って、故障が多かったり、すぐに使い物にならなくなったりすることがあります。
また、同じことを言っているにも関わらず、
ある人が言うことは信用し、ある人が言うことは信用しなかったり、
ある人が言うと許したり、ある人が言うと逆に腹を立てたり、
など、人間関係においても誤解や亀裂を生じるきっかけにもなってしまいます。
特に、親は、子供の言うことを頭ごなしに否定したりしてしまいます。
それゆえ、ものごとを判断するときには、
『誰が言ったか』ではなく『何を言ったか』、
つまり、ものごとの背景ではなく、事象そのものに目を向けるように意識する必要があるのです。
そうすれば、たとえば、人とのコミュニケーションにおいても、相手の言っていることに注目するように意識すれば、次には、それがどのような関係性の中で言っているのか、ということに目を向けることができるようになるのです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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