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心理コンサルタントのしらたきです。
さて、みなさん、前回の偽物の金貨の詰まった袋を探す問題の答えは、わかりましたか?
(前回の問題は、コチラ をご参照ください。)
それでは、答えを発表したいと思います。
まず、10個の金貨の詰まった袋に、1番から10番までの番号を付けます。
そして、それぞれの袋から番号分だけの金貨を取り出します。
つまり、1番の袋からは金貨を1枚、2番の袋からは金貨を2枚、3番の袋からは金貨を3枚……、というようにです。
袋は全部で10個あるわけですから、金貨の数は合計で55枚になります。
その55枚の金貨を全て測りの上に載せます。
金貨の重さは、本物なら1枚100グラム、偽物は1枚110グラムですから、
仮に55枚の金貨がすべて本物なら、重さは55×100で5500グラムになるはずです。
しかし、10個の袋には1つだけ偽物の金貨が詰まっているわけですから、
もし1番目の袋が偽物なら、5500グラムよりも10グラム重くなり5510グラムになります。
もし2番目の袋が偽物なら、20グラム重くなり5520グラムとなります。
このようにすれば、5500グラムより何十グラム重いかでどの番号の袋が偽物かがわかるわけです。
しかも、測りを使用するのは一度で済みます。
以上、正解されましたでしょうか?
もちろん、この問題が解けなかったからと言ってIQが低いわけではありません。
今回、話題にしたIQの元となる知能テストは、ソルボンヌ大学の心理学実験室の室長であったアルフレッド・ビネーという人が、20世紀の初めにその原型を考案しました。
彼は、このテストを、知能に遅れのある子どもを特定し、その子ども達にレッテルを貼るのではなく、彼らに手を差し延べ、改善するために利用したいという理念を持って開発しました。
しかし、その後、知能は生まれつきものであるとする遺伝決定論者たちによって、ビネーの理念は葬り去られ、専ら人間をランク付けし、レッテルを貼るために利用されるようになったのです。
つまり、人種差別を正当化するために利用されたのです。
遺伝決定論者たちの目的は、もちろん、白人が人種の中で最も優れた存在であり、その最下層には黒人が来ることを証明することにありました。
そして、その結果ありきのために、知能テストは歪められ、人種差別を正当化する道具として利用されたわけです。
また、階級の高いものは高い知能を持っており、階級の低いものは低い知能であるがゆえに、彼らは支配されて当然なのだ、という階級制度を正当化するための道具としても利用されました。
(詳しくは、スティーブン・J・グールド著『人間の測りまちがい』をご参照ください。)
その後、ビネーの理念は、残念ながら復活することなく、IQテストは、未だに、人々をランク付けしレッテルを貼る道具として使用されています。
そもそもテストとは、本来、人の理解度を測るためのものであり、ランク付けしたりレッテルを貼ったりするための道具ではありません。
また、IQとは、人間の能力の一部に過ぎず、それによって人間の能力の全てが明るみにでたり、あるいは、人間の本質が浮き彫りになったりするものでもありません。
最近では、IQの高さと人生の成功度の間には、有意な相関関係は見られない、という研究結果も発表されています。
増してや、今の社会では、ほとんどの人たちが自分の能力を使おうとはしていません。
そんな中で、IQやテストの点数、あるいは偏差値の数字は、人間のなにものをも映し出してはいないのです。
私たち人間が持つ本当の能力は、そんなものでは測ることなど到底できないものなのです。
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