クリニックHPのインフォメーションでお知らせした、減感作療法の解説になります。花粉症や通年性のアレルギー性鼻炎で悩まれている患者さんの一助になれば幸いです。



減感作療法(抗原特異的免疫療法)とは・・・・

 アレルギー性鼻炎(含花粉症)は,アレルゲン(または抗原)と呼ばれる原因物質(ハウスダスト=家のほこり,ダニ,スギ花粉など)によって引き起こされます。

減感作療法とはアレルゲンの皮下注射を繰り返し行うことにより,根本的な体質改善を期待する方法です。正確には抗原特異的免疫療法といい,その患者さんの原因アレルゲンのエキス(製剤)の注射をごく少量から開姶し,少しずつ量を増やしていき,アレルギーが起きないように体を慣らしていく治療法です。

抗原特異的免疫療法を実施している医療機関はきわめて限られていますが、当院ではスギとハウスダストとブタクサの治療を行なっています。2種類までのアレルゲンを、並行して治療することが可能です(むしろ推奨します)。


治療のながれ

 特異的免疫療法の具体的な方法としては,まず血液検査で,その患者さんのアレルギーの原因(抗原)を確かめます。そのうえで,薄く希釈したエキスを少量から注射していきます。はじめは週(1~)2回,少しずつ量を多く,濃度を高くしていき,適当な濃度(維持量)になったら間隔をあけ,2週に1回から最終的には月1回の注射を続けていきます。維持量に達するまでに約3~4ヵ月はかかります。効果を維持するために最低2年,できれば3年以上月1回の注射を続けます。詳細なスケジュールについては初回検査の際にご説明します。


費用

 すべて健康保険適応です。3割負担とすると、最初の検査時は5000-7000円、以後の注射は 600-700円/回(2種類で700-800円/回)程度です。


有効性について

 治療効果はハウスダスト(ダニ)で80~90%,スギ花粉でも70%前後の有効性が認められています。また3年以上治療を続けられた患者さん(有効例)では,治療終了後4~5年経遇した時点での追跡調査で80~90%の効果の持続が認められています。飲み薬や点鼻薬はあくまで一時的に症状を抑えるだけで,根本的な治療ではありません。長期にわたってお薬を飲み続けるより,はるかに経済的でもあります。


安全性について

 副作用としては注射部位の腫れが最も多く,そのほか全身の発赤,ショック症状,喘鳴などがごく稀に起こることがあります。ただし、これらの副作用は必ず注射後15分以内に起こるため、病院での適切な処置により,すべて回復するものです。また妊娠に際しての有害事象の報告はなく,治療を続けることが可能です。


対象は小学生以上です。


大変細い注射針を使い、接種量も少ないので刺入時の痛みはほとんどありません。むしろ接種後の発赤・腫張に個人差があります。


接種後は15分以上院内で待機してください。そのため、接種は17:00までといたします。

一般診察の順番予約ではなく、時間指定の予約をおとりします。


多い頻度ではありませんが、まれにアナフィラキシー症状が出現することがあります。その際は病院で適切な処置をいたしますが、重症度により2次病院への搬送が必要となるケースがありえることを、ご承知ください。