授乳中に飲んではいけない薬、食べてはいけないものは? | キッズクリニック ブログ

キッズクリニック ブログ

小児科学、特に小児心臓病学を専門に大学教授としての経験を積んだ後、名誉教授になってから、自分の教え子の小児科診療所で子どもを診ています。
こどものことを中心にいろいろ書いていこうと思っていますので、よろしければお付き合いください。

乳児健診で時々聞かれることのある質問に「感冒薬を飲んでるんですけど、おっぱいには出ませんか?」とか「薬を飲んでいる時は授乳を少しやめてミルクにした方が良いですかね?」などがあります。

一番短いお答えは「感冒薬ならよいでしょう」「おっぱいには薬はほとんど出てきませんからね」です。

「詳しいことを知りたければ、国立成育医療センターに専用のページがありますよ」とお話しすることもあります。

⇒【参照】授乳中の薬(一覧表) | 国立成育医療研究センター

そのサイトは上記のアドレスになりますが、アクセスしてみると驚きます。とてもていねいに詳しく書いてありますが、詳しすぎてよく処方されるお薬、つまり感冒薬に相当するもののところを探すのが大変でした。下痢の時に処方されるお薬も見つかりません。抗生物質を探すのは簡単でしたけれどもね。

飲んではいけない薬にあるもの以外は問題ないと判断して良いと思いますが、お母様のためには、ここで少し具体的に書いておいた方が良いと思いました。

飲んではいけない薬は、抗不整脈のお薬(アミオダロン)、麻薬のコカイン、甲状腺の放射線検査のために飲む放射性ヨウ素です。とくに持病をもっておられないお母様には縁のないお薬ですね。感冒薬や整腸薬は服用しても問題ありません。
安心してお薬を飲んでお母様の健康状態を良くすることが、育児には一番大切だと思います。

では、授乳中には食べない方が良い食べ物・飲み物はあるのでしょうか?

一番上位にあがるのは、アルコール飲料です。
これは、できるだけ飲まない方が良いとされています。厚労省は「発達を阻害します」とコメントしています。

⇒【参照】飲酒のガイドライン | 厚生労働省

どうしても飲みたい時は、飲んだのち2時間は授乳しない方が良いとされています。(日本産婦人科学会)

⇒【参照】妊娠中の飲酒について | 日本産婦人科学会

アルコールは妊娠中だけではなく、授乳中も控えた方が良さそうです。とくにお酒に弱いかたはアルコールの代謝が悪い人ですから、アルコールが体内に残る時間が長いと考えて、控えめにした方が安全でしょうね。

次に注意が必要なのは、カフェインですね。
カフェインは眠気覚ましだけではなく、心臓を早く打たせたり、興奮させたりすることがあります。

授乳中のカフェインは絶対だめ、という方もおられますが、現在はそれほど厳しいことは言わないようです。コーヒー2、3杯程度ならば問題ないというのが、一般的な知識だと思います。

ただ、3ヶ月未満の赤ちゃんでは代謝が遅い、つまり飲んだカフェインが分解されにくいという研究結果もあるので、小さい子への授乳中にはそれなりの注意が必要でしょう。7〜8ヶ月になると成人と同じ程度の代謝能力になります。1日に5〜7杯以上のコーヒーを飲む方は、それなりの注意が必要だということになっています。

赤ちゃんが小さいうちは授乳前のコーヒーは控えるようにして、飲むならば授乳直後に飲むようにするくらいが良いのではないでしょうか。とくに夜泣きが多い赤ちゃんでは、控えめにして試してみるのも良いでしょう。

カフェインを含む飲料としては、コーヒーが有名ですが、紅茶や緑茶にも含まれます。飲み過ぎには注意しましょう。

授乳中にとくに食べない方が良いものは、証明されているものはありません。
お母様が妊娠していたときと同じようにバランスの良い食事をこころがけるようにしてください。

年末年始には飲酒の機会も増えると思いますが、適切な時期に、適切な量ですませるように注意して、気持ちよく新年を迎えたいですね。

ご家族お揃いでお元気に、良いお年をお迎えください。


キッズクリニック 院長 柳川 幸重