ブレイクダンスの技で、
エアチェアーやチェアーからの様々なトリック、
ストロングスタイル系などによく見られる
肩の前の方が痛い
と言う症状があります。
特にエアチェアーを多用するダンサーには多い様です。
下の図をご覧ください。
図(1)
なぜ肩の前が痛くなるかと言うと、
エアチェアーの際の肩は、
●肩(鎖骨・肩甲骨)が上に上がる
●二の腕の裏(上腕三頭筋)~肘から小指側(前腕部・尺骨側)
に軸が乗っている(図(1)の青の部分)
と言う状態になります。
特定の動作で、特定の部位に激しく使い続けますと、
その方向に骨が偏りゆがみとなります。
また、特定の部位ばかり使うと、強く使わない側(軸が乗ってない側)
の筋肉が退化して弱くなります。
関節を締めて固定すると言うことは、
“正反対の筋肉も強く締まっている状態”
でなければなりません。
なので、特定の動きばかりして、
筋力差のバランスを取るトレーニングなどしておかないと、
いずれ痛くなってくるわけです。
エアチェアーに限らず、ブレイクダンスの技は
“床を押す”
と言う動作のため、押す動作の筋トレはよくやられている様ですが、
上にも書きましたとおり、正反対の作用をする筋肉、
“引き上げる力”
が必要となってまいります。
今までの筋トレと合わせてこちらも行うと
怪我予防、パフォーマンスアップにつながるでしょう。
いろいろある中で特にエアチェアーで
傷めた肩に対する効果的な筋トレをご紹介します。
また、怪我を治すだけでなく、
“エアチェアーから上げるのが弱い”
と言う人にもおすすめです。
バーベルやダンベルを持って行う
リバースカール
です。
図(2)
図(1)のオレンジの部分の筋肉を集中して鍛えます。
10回ほどできる位の重量を選んで頂きます。
1、バーベル・ダンベル等を手の平が下向きになる様につかみます。
2、肩甲骨(肩)をできるだけ引き下げます。
3、脇を締めて、肘から先の動きで上下させます。
この様にして
“動的な筋トレ”の他に、
“静的な筋トレ”も有効です。
肘を曲げた形で止めて
数秒~数十秒を耐えるやり方です。
アイソメトリック・トレーニング
ですね。
ゴムチューブや太い紐などをリバースカールの形で
持ち上げる様に力を入れてキープするやり方です。
バトルや練習場にチューブなど持っていくと便利かもしれませんね。
このアイソメトリック・トレーニングは、
リハビリとしてもとても有効です。
その理由は、力の入りにくい形であっても
数秒間キープしている間に、
力が入りやすい形に各関節の位置を
体(脳)が自動的に微調整していくわけです。
結果として関節のゆがみが自動調整されていきます。
筋トレに熱心なブレイクダンサーの皆さん、
是非、このアイソメトリック・トレーニングのアイデアを
いろいろな筋トレに応用してみてくだささい。
●追記
治療の際、施術で8割方よくなっても、
最後の1~2割の動作時の痛みが
なかなか取れない場合があります。
私はその際、上記の様なアイソメトリック・トレーニングを
徒手抵抗運動で行い、よい結果を得ています。
治療家の方は参考にしてみてください。