~坐骨とハムストリングの分離~ | きだみのる鍼灸整骨院のブログ

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前回ご案内しました、坐骨とハムストリングの分離についてのお話です。


なんじゃそりゃ?と思われるかもしれませんが、これは



・もも裏が固い


・股関節が固い


・開脚ストレッチが苦手


・腰痛持ち




と言われる方におすすめのストレッチのポイントです。



また、これは単にストレッチが楽にできる、体がやわらかくなる、と言うだけでなく、ダンスや格闘技、その他のスポーツのパフォーマンスを上げる効果が大きいと感じております。




最近、治療院でも主婦の方々への体操教室でも行って効果を感じています。




なぜかと申しますと、



”体幹部の動きが脚の動きに引っ張られない”



と言うことが可能になるからです。




バレエやジャズダンスなどでは、



脚を上げる力ばかり使ってしまう、


その力みのせいで体のバランスが取りにくい、



と言うのは、まさにそれができていないと起こる現象です。



坐骨とハムストの分離・バレエ

体幹部と脚の動きが分離された様な状態を自分でコントロールできる様にする、


そのボディコントロールをストレッチのシンプルな動きから覚える、


と言うことで、そのボディコントロールを



”坐骨とハムストリングの分離”



と呼んでおります。



MJ稽古会坐骨とハム06

(先日の格闘技ジムにて指導しているところです)



これは産後の女性にもおすすめでして、


”骨盤を締める”


と言うことがよりやりやすくなります。



大きくなったお腹で数か月過ごしますと、腹筋が伸びて、骨盤が開きます。

産後の骨盤ケアは、この骨盤や腹筋を締める、と言うイメージが強いですが、



”骨盤のつなぎ目をゆるめる”



と言うことも同時に行いませんと、成果も出にくい様です。




その理由は、



”骨盤の前が開くと後ろは詰まる!”



からです。




下の図をご覧ください。骨盤を上から見た図です。


骨盤・上から・開き傾向

骨盤の前が開いていくと、骨盤の後ろの真ん中にある仙骨と左右の腸骨のすき間(仙腸関節)が詰まってしまい、動きが悪くなります。




仙骨は背骨の一番下にある骨なので、そこの動きが悪くなると背骨、特に腰の下の方の動きが固まってしまいます。


これが腰痛のもとにもなります。


骨盤_後側




それではまず下の図の様に、もも裏(ハムストリング)のストレッチをしてみてください。



ハムST


それとまた、開脚ストレッチ(開けるところまでで)をして、左右に体を倒してみてください。


いずれも軽くで結構です



意識してチェックして頂きたいのは、どこまで曲がるかではなく、


”曲げ始めの楽さ、動きの出だしのやわらかさ”


なんですね。






ヨガやバレエなどでも、前屈や開脚のストレッチなどでもも裏や内股を伸ばす際に、



骨盤、または仙骨を立てる、



開脚の時に脚を引き付ける、また閉じる様な力を使う、



などのアドバイスにより、骨盤をしっかり立ててハムストリングを正しく伸ばそうとしている様です。




通常、骨盤を立てると言った場合、たいていの方は



”背筋で腰をそらす”


と言う操作になってしまいます。


骨盤の周囲では、腰の背筋の意識や感覚が強いからです。


しかし、これでは腰辺りの背骨が支点となり前屈後屈の動作をするので、腰にも負担がかかってしまいます。


MJ稽古会坐骨とハム03



”坐骨ともも裏の筋肉が一体化したまま”


であり、腰の背筋で無理やり骨盤を立てている状態です。


すると、前屈ストレッチの際に、坐骨とハムストリングが一体化したまま前に引っ張り、体幹部を後ろや下に引っ張りますので(左の図)、前に倒れたい上体とは逆の力が発生して邪魔するわけです。




坐骨の引き・ハムストSt


ですから、骨盤を立てる際には、しっかりと


”坐骨を後ろに引く”


意識がないといけません。


一見、骨盤がきれいに立っている様に見えても、体の内部では上記の様な邪魔をする力が発生している場合が多い様です。


そのためか、バレエやヨガではもも裏や内股を傷めることもよく聞きます。

(ハムストリング症候群、慢性的な内転筋の痛みなど)




さて、では骨盤を正しく立てるための


”坐骨とハムストリングの分離”


の操作を実践してみましょう。




1、下の図の様に膝をかかえて坐ります。



坐骨引き操作


2、膝を立てた方のお尻を前から触り、坐骨周辺を意識させます。



MJ稽古会坐骨とハム02



3、膝をかかえて胸を張りつつ、坐骨を引き骨盤を立てる動作を繰り返します。



いーち、にーーい、さーーん、・・・と言う様な感じで10回もやればよろしいかと思います。


さて、この段階では何がどう変化したかよく分からないかもしれません。


では、先ほどのもも裏ストレッチを再度やってみましょう。


片脚を前に出して、坐骨を引くような動きで(ここポイント!)


胸を張りつつ、上体を前にゆ~っくりと倒します。



はい、いかがですか?


もも裏のつっぱり感が少し楽と感じた方は正解!


当然、楽に倒せますよね。




さらにその進化形にいってみましょう。


胸を張りながら坐骨を引く感覚が理解できましたら、次は



”鼡径部(コマネチライン)の支点”



を使っていきます。



下の図の赤丸のポイント、鼡径部の内側、恥骨の端の辺りですね。



鼡径部の支点


ハムST

上の図の様な、もも裏ストレッチの形を取り、


”鼡径部の支点”を片手の指先で押さえましょう。


もう片方の手(前に伸ばした脚の方の手がやりやすい)で、

坐骨(実際はお尻の下の方)を前から触りましょう。


坐骨を引き、鼡径部の支点から上体を倒してみてください。



どうでしょう?


さらにやりやすくなっているのではないかと思います。



さあ、それではダンスでもスポーツでも、実際の動きがよくなっているかチェックしてみてください。


この様にして、しっかりと骨盤を立てることができれば、体幹部と脚の動きの分離が可能となり、体軸をキープしたままで



”キック動作”


”素早くしゃがむ動作”


などが軽快に行える様になってきます。



MJ稽古会坐骨とハム07

MJ稽古会坐骨とハム08

MJ稽古会坐骨とハム09


もちろん、骨格バランス、腹筋と背筋の調和が取れますので、


体幹トレーニング、


各種の基礎トレーニング、


産後の骨盤引締め、


などに役立てると思います。



いろいろな体のパーツのさらに限定された部分を意識すると、動きが急に楽になることがあります。


皆さんも応用して、オリジナルのエクササイズ法を編み出してみてください!