51「たとひ身は、蝦夷の島根に朽ちるとも・・・」 | 海峡kid.の函館ちゃんちゃんこ物語

海峡kid.の函館ちゃんちゃんこ物語

街と空と木と花と虎と、現実と空想のブログです。

函館ちゃんちゃんこ物語51


「ちゃんちゃんこ軍団」の極秘の「軍団定期総会」で、

間本久直がぶちまけた。

「オレの生きざまを見ててくれ!」

そして、憧れの横野典子に告白するために五稜郭に向かって行った。

しかし・・・。

 

 

「たとひ身は、蝦夷の島根に朽ちるとも・・・」

 

「たとひ身は、蝦夷の島根に朽ちるとも、魂は東の君やまもらん・・・」
土方の辞世の句を語った間本久直。憧れの橫野典子に告白するために行った五稜郭で見事に!?散ったようだ。

翌日の昼過ぎ、「間本、討ち死に」の知らせを聞いた山高焚人-潔と、深間克明の二人は、
道場海峡男の家に集まってきた。
「やるか!」
一瞬で決まった。
「かしらや、17時」の知らせをもって、陸上部、俊足おでこ拡大男の山高は、間本のもとに走った。

 

 

夕方17時「かしらや」。
海峡男、山高、深間の3人は、開店と同時に店に入って、ビールを飲んでいた。

最初の二言三言は、間本の五稜郭奮闘について話していたが、話題は、深間と野々村聡子のラブラブの話になっていた。
「それでさあ、野々村がさ、オレに聞くんだ」
「深間君の好きな食べ物ってなあに?って」
「だからオレさあ、ラーメンって言うと」
「野々村は、ええ!!と驚いた声を上げて喜んだんだ」
・・・
聞いていた海峡男も山高も、どうでもいい話なので、ただ「うんうん」「ふ~ん」と聞いているだけだった。たまに深間が話している途中に、
「おお、やっぱりかしらだな」
とか、
「枝豆はなくてはならないものだ」
と言って、二人はビールを飲んでいた。



 

深間の話では、彼と野々村の関係は良好で、この日の深間はすこぶる機嫌がよく、口は、トロトロに溶けそうなくらい滑らかであった。

そんな中、間本は「かしらや」の戸を開けて、まるで黒いゴミ袋で体を覆っているような、真っ暗な雰囲気で入ってきた。しかし心の中は、自分の奮闘ぶりを、軍団のみんなに認めてもらおうと、どす黒い炎で燃えていた。

 

そんな間本を、深間の話で盛り上がっていた3人は、テンション高く迎えた。
「さあ、乾杯しましょう!」
お口滑らかの深間が音頭を取った。

続きます。




※おことわり
この物語は、実際にあったかどうか疑わしいことを、作者の老化してぼんやりした記憶をもとに書かれていますので、事実とは全く異なります。登場する人物、団体、名称等は、実在のものとは一切関係はありません。
また、物語の中の写真はすべてイメージです。

 

「函館ちゃんちゃんこ物語」

毎年届く年賀状。その中には学生時代の懐かしい仲間のものもある。ここ数年多くなったのが「退職」の知らせだ。いつの間にかみんな年を取った。

道場海峡男(どうばうみお)は、本棚の隅から、大学の研究室の機関誌「学大地理」を取り出した。色あせた機関誌だが、40年前の懐かしい思い出の数々が鮮明に蘇って来た。

研究室の仲間、ちゃんちゃんこ軍団の同志、4年間の輝く函館の歴史がここにある。