ペナン支店の伝統をぶち破れ!いつもビールは美味い! | 海峡kid.の函館ちゃんちゃんこ物語

海峡kid.の函館ちゃんちゃんこ物語

街と空と木と花と虎と、現実と空想のブログです。

熱風ペナンの物語 59 「改革へ 1」

 

ペナン支店には、明文化されていない暗黙のルールというものがある。
派遣の先輩連中が、嫌がらせのように今年赴任のメンバーの行動を指摘し、

制限してくる。
面倒をくれている先輩たちだが、

「そろそろ、戦うときが来たな」と、海峡男は決断した。

 

 

「寺本くん、昨日バスに乗りませんでしたか?」
突然聞かれた寺本は、
「は?・・・はい、乗りましたけど、車を修理に出したので・・・」
「それは禁止されているんですよ」
情報収集力に優れている先輩赴任の一人、大坂がさっそくかみついた。

 

「さっそくだな!」海峡男は思った。
「大坂さん、そういう決まりって何かに書いているのかなあ」
海峡男が聞いた。
「いえ、サブ・リーダー、どこにも書いていまへん。

 でも、以前からのルールですから」
と大坂は当たり前のような顔をして、意地悪そうな顔で答えた。
「社員の勤務規定にも書いていないんだけどなあ」
海峡男は、不思議そうなふりをして言った。

 

「でも、今までの内規みたいなもので、守らなきゃダメなんですよ」
と金田が言った。

この男は大坂以上に意地の悪いやつだ。一年早く赴任したやつである。


「それは誰が決めたのですか?」
海峡男は切り返した。金田は、
「そんなことはわかりません。でもそれがここの支店の伝統です」
「イヤなら会社を辞めるしかないですよ」
とまで言った。海峡男は、
「辞めるしかないのですか。それはたいへんですね」

「バスに乗るか、会社辞めるかですね」

 

しかし後日、会社を辞めたのはその金田であったのだが、

別件なので触れないでおこう。


海峡男は、「ひとまず、今回は引き下がって、裏を取ろう」と考え、

別の仕事に取りかかった。

それから仕事や来客がどんどんあって、

帰宅時間まで、いっぱいいっぱいであった。

 

   

やっと仕事が終わり、家に帰ってシャワーを浴び、

外を眺めながらビールを飲んだ。

これからの波乱を予感させる不気味な空である。

 

しかし海峡男は、

「生きているなあ!」
たとえ、会社は辞めても、ビールは止められない。

 

 

「そろそろ、反旗を翻すときがきたか・・・」

 

 

続きます。