ワイン産地は美しい。美味しいワイン産地は更に美しいです。これまで30年程、ワイン産地を訪れてそう思うようになりました。

ワイン産地を訪れるのに最高の方法は現地を歩き、もしくは自転車などで回ることですが生産者を訪問する仕事上、そんな贅沢はできるはずもなく、いつも車で巡回するのですがその車窓から見る美しい風景に一度、ゆっくりと訪れてみたいと思っていたところコロナでその夢も少し後になりそうです。

そんな美しいワイン産地の中でも極めつけは世界遺産のワイン産地、ポルトガルのドウロ地方でしょう。ドウロ川を大西洋から約100km東に遡り、スペイン国境まで100km続く渓谷両側の山頂までの段々畑は正に息をのむ景観に違いありません。川沿いの道路も世界で最も運転して楽しい道に認定されていると聞きますが、ここの楽しみ方はやはり列車移動でしょう。特にレグアからピニャンまでの区間、列車はドウロ川の北岸を水面ギリギリに走り、車窓には空高くブドウ畑が続く谷間の景観は大人も思わず修学旅行の中学生レベルではしゃいでしまいます。

 

 

 

 

ドウロ川の河口の都市ポルトの装飾タイル(アズレージョ)で有名なサンヴェント駅から出発した列車はドウロ川に沿って走ります。サンヴェント駅自体が見事なタイルでたいへん美しく、到着したピニャンも鄙びていますがアズレージョが美しい駅です。最近はピニャン付近も新たなホテルが数多く建設されて、コロナ前までは数多くの旅行者が訪れていたと聞きます。私が訪れた時は実に鄙びた田舎町でしたが駅の傍にはヴィンテージハウスホテルという風格のあるホテルがあり、この辺りが古くから有名なワイン産地であることを物語っていました。現在は歴史的なブドウ畑の大パノラマの中で快適なホテルに宿泊することもできます。そして、最高のワイン、スティルワインとポートワインを地元の料理と共に楽しめるのは、この地が選ばれる理由になっています。

 

 

そんなレグアからピニャンの丁度中間地点の川沿いにコヴェリーニャスという駅があります。その駅に繋がるようにあるのがキンタ・ドス・ムルサスというワイナリーです。ポルトガルで最も有名なワイン生産者エスポランの傘下でドウロの高級ワイン造りを行っています。部屋数は少ないですが宿泊施設もある美しいワイナリーです。ドウロ観光の折にはぜひお寄りいただきワインと共に美しい産地の景色を満喫してください。