婦人科便り290 ハイリスクHPV | 婦人科備忘録

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ある婦人科医の独り言です

ネタ提供ウェルカムですが
最近ご質問内容が
すでに記事になっていることが多くなってきました。
お手数ですが、まずはブログ内をご検索ください。

ネタ提供ありがとうございます。

 

HPVに対するあくなき興味がマダムを捉えて

離さないようです。

本来、検査をした担当医が

説明しておくべきものですよね。ほんと困るー

みんなも検査するからには

瞬時に「それ、なんですか??」と食いつくくらいの

瞬発力を鍛えておこう。ピラニアで頼む。

 

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Q.

HPVのウイルス検査では
通常、何型を調べているのでしょうか。

その結果の陰性ってどの程度確かなものなんでしょうか。

 

A.

子宮頸がんを起こしやすいとされる

ハイリスクHPVを調べていますんで

16.18.31.33.35.39

45. 51. 52. 56. 58. 59

66. 68

が分かるように設定されていると思います。

検査によってはこれからいくつか

減らしているかもしれません。

いずれの検査も16型、18型は漏れなく

項目として入っています。

 

ちなみに検査法はHPVのDNA断片を

増幅して調べているので(PCR)

陽性も陰性もある程度信じていいと思いますけど。

ま、ニンゲンのすることなんでー

そこらへんは平にご容赦。

 

一回で心配だったら何度かすると

精度は上がっていきます。お金はかかりますが。

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ハイリスクHPVのうち、

ほんとうのほんとーうに怖いのは

16型と

18型の二つです。

16型が陽性の場合、

10年で子宮頸がんに至る率は17%ほど。

18型が陽性の場合は14%ほどですが

その他の型は3.0%程度とぐっと低いです。

ハイリスクHPV陰性の場合は0.8%ですから

その差は一目瞭然。

 

幸いにも日本人は最も怖い16型は少なくて

何度も書くようだが52型がいっちゃん多い。

逆に軽度異形成であっても

16か18が陽性の場合は

頼まれなくても大学病院なんかに紹介しちゃいます。

さらに16型の場合は進行が速いようなイメージ

しかも自然消滅あんま、しません。

 

現行、保険でこちらの検査をしようと思うと

子宮頸がん検診で何かしら、

異常が出ていることが前提になります。

ぜんぜんかすりもしないのに

HPV検査だけしようと思うと自費診療。

2万円くらいだったと思う。間違ってたらごめん。

気の利いた健診だと

勝手にオプション組まれていることもあって

なんで調べた?的なマダムもいますね、ハイ。

 

ブログ既出のHPVワクチンについても

あとで遡ってご覧になってみてください。

割と力作。

診療の片手間とはとても思えず、泣ける。