婦人科便り269 合併症が起きた時、お金はどうなる? | 婦人科備忘録

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ある婦人科医の独り言です

ネタ提供ありがとうございます。

 

外科系お仕事の大半が

切ったはった縫った、である限り

ある程度の頻度で悲しいできごと=合併症は起こり得る。

起きたら起きてしまった時

治すしか道はないのだが

治すにも他の手術や処置が必要であることも多い。

 

そんな時気になるのが

お値段どうなりますかね?

だと思うんだけど、どうだろう。

 

患者さん側にしてみれば

「うまくいくはずの」手術が横道にそれ

辛い治療が加わった挙句に別料金を請求されるのは

納得いかんと思うが、

蓋を開けてみればやっぱりそうなんである。

 

そう、合併症の治療も

通常の保険診療分のお金がかかる。

 

例えば術中に思わぬ出血多量に見舞われ

輸血をせねば、となったとき

全国の善意の勇者からかき集められた血液が

マダムの体に投与されるわけだが

その真っ赤な血液(濃厚赤血球)、1パック4万円也。ちーん

オレンジジュース一本の報酬のみ与え

ほぼ無料で献血させといてからに、と思うだろうが

製剤として安全を保証するためいろいろ処理が加えられる分

お値段高めなのYO

大・出・血!ってな時、途中でどれくらい課金されたか

カウントしなくなるのでそのお値段は青天井。

請求書(診療報酬明細書)を主治医も見るのが怖い。

 

とりあえずそんな大事件がなかったとしても

細々としたお薬や処置には

いちいちお値段が設定されているため

耳元でちゃりーん・・・と音が鳴る思いである。

 

駄菓子菓子

 

どこぞの国と違って我らが日本、そこらへんは太っ腹で

まるめ請求、なんである。

疾患ごとにこれはこれくらい、と病院に

保険機関から支払われる代金が定めてあり

それを超える分は

「合併症の治療については請求したらあかん」になっている。

例えば子宮を摘出後

腸管損傷が分かり、別日に腸管をつなぎなおしたとしたら

腸管をつなぎなおした手術はサービス・・・ひゅるるるる

 

野球でいうならインフィールドフライのようなもの。

つまり、儲かるために

「わざと」合併症を起こすことを阻止していると思われる。

わざと、だなんて、

そんなはずないやんと思いたいが

世の中は広く海も深くて山も高いため

ちょっとマッドな医者もいないわけではない。

 

まあ、前述した輸血パックなんかは

「お薬」扱いなんで加算されちゃうが

(病院としてもモノは買わんといかんからですね)

そこを埋める制度として

「高額医療証」が存在する(ブログ既出、探してー)。

年収ごとに一回の入院で支払うべきお金の上限が設定されており

それを上回った分はご本人が手出しすることなく

保険機構から前借できる(保険機構から病院へ直接支払われる)。

この「高額医療証」を使用せず、

カードで支払ってそのポイントをため

あとで確定申告する、意識と年収が高い人もいるが

あとで上がってくるレセプト(診療報酬明細書)を見ていると

ほぼ90%くらいのマダムがこのシステムを利用している印象。

 

この良きシステムがいつまで持ちこたえられるかわからんが

皆がいい子で納税し

あほな政治家を駆逐し続けていれば

なんとかこれからも

これでいけるんやないか・・・な?

あとは戦争や内乱、天災といった

国がひっくり返るような大事件が起きないことを

皆も祈ろう。

 

次の選挙(いつ?)

誰に投票していいか

皆目見当がつかないので

できるだけ

less evilめがけて清き一票を投じておこうと思います。