婦人科便り267 医療費を考える | 婦人科備忘録

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ある婦人科医の独り言です

ネタ提供ありがとうございます。

 

先日の素敵先生の記事にもありましたが

(勝手に素敵先生とか言ってますが)

日本の医療のシステムは

ほんとうのほんとによくできていて

戦後日本を立て直そうとしてきた偉人たちは

インフラとして病院を見ていたんだなあと

しみじみ思います。感服。

 

電気水道ガスといったライフラインと同じく

病院は、人間らしく生きていくための

最後の砦、という気概。

 

戦後の焼け野原に誓ったに違いない。

 

その、胃のあたりのどこかが

しくしくきりきりするような思いを

踏みにじるようなことがあってはならないよね。

 

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Q.

患者の立場から、医療制度の継続のためにできることは何でしょうか?
風邪くらいだったら、数日様子見るとか?
自治体のサービスのこどもの医療費無料制度なんかも、

無駄な受診を増やすのでは?と思ってます。

子育て応援に異論はありませんが、

医療費無料はよくないのでは?と思っています。

 

A.

風邪でもしんどいなら受診していいと思う。

万病のもとだし。

 

それはさておき。

 

人間は教えられたことしかできないので

根本的な教育の見直しが必要かなあと思います。

よーするに、知らないから、

「適切な受診」ができない。

適切な受診が可能なら、

医療費無料制度も生きてくるんじゃないか、と。

公的な教育がまだまだであるなら

今のところ、大人が子供に教えるほか、ないかしら。

 

とりあえず、選挙にいこ。

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教育がちっと寺子屋的だよね、日本・・・

ちいとも実践的でないというか時代遅れというか。

もちろん読み書きそろばん、大事なんですが

それが最低限できるという前提で

良い子のための株投資、とか

iPhoneの使い方、とか

おれおれ詐欺の対処の仕方、とか

保証人とは?クレジットカードの仕組みとは?とか

税金とは保険制度とは、といった

いわゆる「今を生きる」方法も

ちゃんとまとめて教えておいた方が

いいのでは、・・・と、おばちゃん思っちゃうー

 

「生きる」に直結しないとなかなか気合が入らないし

興味も湧かないんじゃないかな→算数

頭の良さは算数の点数では決して推し量れないが

算数ができないと株の投資はできん、となれば

例え苦手であっても

やる気が出てくる子がおるんやないかと思います。

どやろか

 

その流れで

医療費がどういったシステムなのか

なぜ支払いが30%でいいのかの理由がちゃんと分かれば

物事には遠慮が必要!

という考え方も生じると思うんだよね。

あれは70%オフ!じゃねえ。

70%は他の人の財布から借りておるわけです。

あとで返すのよ、強制的に。

仕組みを知ってもなお、

自分だけ良ければええという、

あさましくもさもしい考え方をする輩もおるだろうが

大方のろうにゃくにゃんにょは

素直に受け止めると思う。

 

現在の国民皆保険制度はつまり、助け合いの精神であり

とりあえず皆がお金を積み立てた共有のお財布の中から

病気になった人がちょっと借りておく前借りシステムに他ならない

・・・ってことが分かれば

医療費無料=タダ、ではないと理解できようというもの。

すでに払ってるし、その払いは延々と続くんである。

サラリーピーポーは天引きされているため気が付かないうえ

気が付いていてもざっくりおかみに上納金取られた、

くらいに受け止めていると思われ。

 

ときどーき

生活保護をもらっている人を

ずるしてる!とか思ってしまう場面にたびたび遭遇するが

あれも国家予算からすると微々たるもので

もっと巨悪をごっそりやっつけた方がかなり節税。

あんだけの数、政治家って必要????

居眠りしてるかヤジ飛ばしてるか

どちらかしかしてない人が

ちょっとテレビに映っているような気がしてならない。

おいこらおめーだよ。見られてるぞ

 

そういった現代日本の社会的構造を

もうちっと勉強させてもろて

重い病気になってもその人がその人らしく

どうにかして生きて行けるように整えていければなあと。

そのうえで

「これこれこういった時には

 病院に行きなさいや、お互いさまの精神やでー」

との教えも同時に伝授すればええのでは。

口伝で教えるのも、もはや限界。

一子相伝の北斗の拳じゃあるまいし。

 

私たちのちょっと前の世代が

負け戦に泣き、大事な人を亡くしても

死に物狂いで取り戻した今の日常を

次の世代にきちんとお渡ししたいものです。

 

できれば、もっと良きものにして。