婦人科便り246 笑う門には | 婦人科備忘録

婦人科備忘録

ある婦人科医の独り言です

ネタ提供ウェルカムですが
最近ご質問内容が
すでに記事になっていることが多くなってきました。
お手数ですが、まずはブログ内をご検索ください。

ネタ提供ありがとうございます。

 

ネタが尽きそう、もしくは完全に尽きたころ

必ずネタ提供者が現れ、助けてくださっています。

全国のマダム、ありがとう。

自家発電で書ける全ブロガーの皆さん、尊敬します。

ちょっと無理。っつーか絶対無理。

 

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Q.

退院後、幼い娘から面白おかしい熱烈な歓迎を受け、

爆笑案件なのに笑うとお腹が痛く、

お腹を抱えながら笑いを抑えるのに必死でした。

術後早くに退院し、家族と触れ合ったりすることで

腸の癒着防止になるなんてことはありますか?

 

A.

あると思います。

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手術というのは物理的なもので、

あまり精神の作用がないようなイメージですが

個人的には「心のありよう」も

大きく作用するってのは

 

あると思います。

 

昔、中島らもさんという文筆家がいらっしゃって

幼少のみぎり、彼が朝日新聞で連載していた

「明るい悩み相談室」を愛読しておりました。

(ご本も持ってました。どこ行ったんだろ・・・)

このブログのどっかにもすでにご紹介している

・・・かもしれない(安定の無責任)のですが

「心のありよう」の話をするとき、

必ず思い出すので再掲。

 

人生を悲観してばかりで困っています、というご質問に

彼はこう答えていました。

 

自分の奥さんが派手に転んで足の骨を折った。

松葉杖二本で歩かねばならず、不便極まりないのに

らもさんに向かって

ほーら、こういうダンスができるんだよと言って

松葉杖を交互に上げ下げして見せ、

松葉杖ダンスなるものを作ってしまった。

面白くて家族で腹を抱えて笑った。

骨を折ったことは不幸だけれど

笑いが生まれ、楽しかったということは幸福なこと。

不幸と不幸をつなぎ合わせれば単なる不幸だけれど

幸せと幸せを明るい色で結べば

意外にどんなことでも幸福な絵になるんじゃないか

不幸を不幸のまま置いておくより

せめて明るい色で幸福な絵を描こう・・・

 

素敵でしょう。素敵ですとも。素敵なはず。素敵五段活用。

 

日常診療でよく感じることは

よく笑い、人を気遣い、礼儀正しいマダムははよ治る。

逆に人を恨み、不幸を人のせいにし、尊大なマダムはトラブルが多い。

なんだろう、この違い。

よって、ベテランになった今、

性格の悪いマダムをうまく避けることができるようになり 笑

だんだんに合併症から遠ざかっています←今ここ。

 

ちなみに、産婦人科の手術で一番辛く、痛いのは

帝王切開だ、と言われています。

なぜなら子宮を切られ、腹も切られ、

創の痛みの上に子宮収縮の痛みが加わり激痛

ついでに術後まもなく

首も座ってないふにゃふにゃの赤子を

当然のようにお世話することが義務づけられており

決して甘えを許されず、術後患者として扱われない、というのがその理由。

 

でも皆、幸福そうです。

あんまり痛いって言わない。

 

対象年齢がおしなべて若いということもあるんでしょうが、

(遅くても40代だし、ねえ)

赤子が生まれて

幸せホルモン・セロトニンが全開で出ているからだろう、と

勝手に想像しています。

ほんとは痛いんだったらごめんYO。

でもでもあまりにも幸せそうで、

産科にも携わっていた時は

用事もないのに産科病棟まで

幸せホルモンの匂いを嗅ぎに行ってたYO。

ふんかふんか。いい匂い

 

そんなわけで、

ちびちゃんと腹を抱えて笑ったあなたは幸福度マックス。

体内の幸せホルモンがわんさか出て

免疫力アップ、

脳が元気だと腸蠕動も亢進し、

癒着どころか回復のスピードが促進されること請け合い。

 

笑う門には

必ず福が来るもんです。

 

セロトニン、力いっぱい浴びたいわー