婦人科便り226 誰を「軍師」に選びますか | 婦人科備忘録

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ある婦人科医の独り言です

ネタ提供ウェルカムですが
最近ご質問内容が
すでに記事になっていることが多くなってきました。
お手数ですが、まずはブログ内をご検索ください。

ネタ提供ありがとうございます。

 

一度も家族を連れてきてくださいと言われたことがない、

というタレコミがあった。

 

合格!

 

そんなマダムはきっと

淑女たる風格をお持ちで

かつ、ボケていないと

主治医が判断したに違いないのであります。

自分で自分のことを決めるのが一般的だYO

 

ボケてはいなくても

人生を揺るがすような病名は

人を動揺させるため

病院から帰る道のりが、特に車の運転が

とても心配な時、やっぱり頼りにしてしまいます、ご家族を。

日頃は頼りなくても

電話したらすぐ職場から作業服のまま

車で来てくれるムッシュいいよね~イ・ケ・オ・ジ♥

きっと惚れ直す。

 

また、話をする相手が未成年であるときは

お母さんと関係があまり悪くなければ(要確認)

お母さんを呼んでしまうかな。

まあ高校生にもなればたいていの話はできる。

下手すると母国語が日本語ではないお母さんより

日本で生まれ育った本人の方が話が良くわかっており

顔の周りにクエスチョンマークだらけのお母さんに

とても流暢な

時に英語、時にロシア語、時に中国語、時にスペイン語などで

通訳をしてくださるため大変ありがたい。

まぶしいぜ、バイリンガル。

 

ところで

家族を呼んでください、で困るタイプの家族には

二通りある。

 

① モラハラ気味のムッシュ

② 過保護で社会性のない老母

 

ですです

 

①は論外で診察室から追い出すので問題ない。

 

 たまにそのまま離婚の相談を受けたりする。

 病をきっかけに

 人は

 絆を深めることもあれば

 関係の終わりを告げることもあるのだ。

 おい聞いてるか野郎ども。

 寂しい老後を送りたくなければ

 今、あなたの傍にいるマダムを

   大事にしておけ損はない(棒読み)

 

②がとても厄介で

特にマダム本人がなぜか老母に頼り切っており

すべての采配を老母が取り仕切っている場合

治療が難航してしまうことがある。

 

わし:お母さんは待合室で

 

老母:なんでですか(抵抗)

 

わし:お母さんの病気ではないからですよ

 

老母:でも娘が病気なら私が聞いておかないと

 

わし:娘さんが一人で決断することも必要です。

 

老母:今までそんなこと一度もないから!

 

わし:いいからさっさと診察室から出ろーーーーー

 

・・・・50代で

「老母が決断」はおかしいわ!!

 

いくつになっても娘は所詮娘で

それ以外のナニモノでもない気持ちはようく分かるが

子宮を取る、取らないに

老母の気持ちはもはや無関係。

娘には娘の人生があり

老母の知らないところで

喜怒哀楽があって当然なんである。

 

駄菓子菓子

 

娘が死ぬまで娘を支配下に置きたい老母は

実は珍しくない。

がんや!言うてるのに

 

子宮を取られるなんてかわいそう~~~~~号泣

 

いや、ここで人生が

終わる方がもったいないわ!

 

で、たまにそんな暴走老母を黙ってみているだけの

腑抜けたマダムが一定数、存在する。

気をしっかり!ぱぱぱぱぱーん(往復びんた)

どんな母娘人生を送ってきたか知らないが

親の呪縛というのはかなり強力で、

老母がすでに自分より貧弱で浅はかな存在になっていようが

ずっと鎖でつながれているかのように従順である。

ゾウも小さい時からしつけると

体が大きくなり力も強くなって

ゾウを縛るモノが

その気になれば簡単に引きちぎることができる綱だけであっても

決して引きちぎろうとしないんだそうです。怖

 

ここらへんのゆがんだ関係性については

婦人科の領域ではなく

むしろ精神科であるため

私ができるのは診察室と病室から

老母を引きはがすことだけであるが

一つ提案するとしたら

人生のセーフティーネットとして

もし自分が何か重要で避けられない決断をせねばならぬとき

誰を頼り、誰を参謀に加えるか

は、今のうちから心つもりをしておくべきと考えるがいかが。

 

その際は老母以外

誰か候補を募っておくことです。

老母はすでに老母であり

今さら出汁は取れない。かすっかす(言った)

だいたい、還暦とは

そもそも「子供に返る」ことを指すのであり

その理論に則れば、

還暦超えたら

全員幼児であるという前提で考えても

そんなに悪い判断ではあるまい。乱暴かもしれない。

 

私もあと20年くらいで老母になる予定であるが

前途の明るい(はずの)コムスメの

栄えある人生の軍師に選ばれることがなくなっても

コムスメが老母以外で

心を許せる誰かを見つけることができた、という安堵をもって

人生を終了したいと思います。