婦人科便り154 異所性内膜症③ | 婦人科備忘録

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ある婦人科医の独り言です

ネタ提供ウェルカムですが
最近ご質問内容が
すでに記事になっていることが多くなってきました。
お手数ですが、まずはブログ内をご検索ください。

子宮内膜症に関しては

どこからどう潜り込んだのか?的なところに

うっかり血豆ができていることが、まま、あり、

未だに

はひふへほ五段活用を多用中。

 

膀胱内膜症もその一つ。

 

人間の膀胱は骨盤の壁の中に収納されているため

お腹の中を腹腔鏡で覗いても

ここに袋があるよ!とははっきりわからない。

お家で例えるなら

壁の中に埋め込まれた貯水タンクのようなもの

 

・・・にも関わらず、内膜症は

膀胱の壁の中にできることがある。

膀胱は子宮の前に位置しているものの

膀胱壁は一枚腹膜を隔てているため

なんで血豆ができちゃった?といつも不思議でならない。

 

重症化すると生理のたんびにかなりな血尿と

膀胱炎症状を繰り返すので

生活の質が落ちてしまう。

たいていは気の利いた泌尿器科の先生が

膀胱鏡検査までしてくれて

きちんと診断までつけて婦人科に相談してくれる。

ほんと、毎度ありがとうございますー

 

妊娠を希望されていないなら

ジエノゲストやレルミナが著効するので

こちらを「閉経まで」(ここでみんな気を失うけど 嘘)

飲み続ければ症状は取れるし、普通の生活が送れること請け合い。

妊娠を希望している場合・・・?

・・・手術?する?うーん、と泌尿器科の先生と悩む。

 

膀胱鏡で見て、膀胱の中に血豆がわんさかできている場合は

泌尿器科の先生が膀胱鏡手術で削ってくれることもあるが

膀胱の壁の中にできているときは

「膀胱壁ごと」切除しなくちゃならない。

・・・んが、エコーや大好きMRIでは「ここまで病気!」と

分かりやすい膀胱内膜症の病巣は

肉眼で見ると「いったいどこまで血豆なの」問題が勃発し

一般人が想像しているほど簡単ではないのです。

 

膀胱を一部切除することに関しては

ヤツは割と伸びがよく、数年もすれば元の容量に戻るため

そんなに「え、そこなくなっちゃうんですか?」などと

怯えなくてよいが、

どこをどう切ったらいいのかが難しく

できれば薬を飲める人は飲んでほしいなあ、とか思う。

そっちの方がかなり簡単です。

 

まあ、しなくちゃならない手術はするしかない。

やっちゃえ自分。

しぶる泌尿器科の先生を

時に叱咤激励、時におだて、なだめつつ

合同でコトに当たる。

 

蛇足ですが、薬飲まなくても

自然に症状が落ち着くケースもたまにありまして

何もせずに放置プレイかますことも。

若い人は高い薬を嫌がりますけんね

薬代を皆が渋るとき

日本の政治よ、もっと若者を大事にしよう?と

至らぬことを思ってしまったり、しています。