書評④ 葬送のフリーレン 未来に連れて行くって、こういうことか | 婦人科備忘録

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ある婦人科医の独り言です

ネタ提供ウェルカムですが
最近ご質問内容が
すでに記事になっていることが多くなってきました。
お手数ですが、まずはブログ内をご検索ください。

エロ本から格調高い文学まで

幅広くジャンルを問わず

活字ならなんでも拝見するワタクシなのですが

(なんなら電話帳でも楽しめる)

漫画本ももれなく目を通しております。

 

今現在はまっている漫画本

 

葬送のフリーレン

 

これに関してちょっとうるっと来た話を。

 

だいたい医学部は1学年100人くらいで

それくらいだと皆、仲良くはないまでも

顔見知りくらいにはなるもので

お互いに一回くらいはしゃべったことがあると思う。

 

その中で、他愛のない話をよくしていた男の子がおりました。

正確には仲良しグループの一人、でしょうか。

 

階段状に置かれた古い長机のある広い教室で

昨日読んだ面白い漫画

CDの貸し借り 歌詞がよかったよ、とか

彼女にふられちゃってさーとか

その時のちょっと昭和な部屋の感じ

机の上に広げたノートの端に

どらえもんが書いてあったこと

今もほんの少し前の話のように

正確に思い出すことができる。

 

彼は卒業と同時に精神科に入局

私は紆余曲折の末、産婦人科へ

道が分かれてそのまま連絡をお互いにしなくなったころ

彼の訃報が風の噂に耳に届きました。まだ30代

奥様がなかなか起きてこない当直明けの彼を起こしに寝室に行ったら、

もう帰らぬ人になっていた、と聞いたのは

もうずいぶん前のことになります。

当時はかなりショックを受けたものだけれど

去る者は日日に疎し

忙しさの日常に彼を忘れ、

正直、思い出しもしない時間が増えていました。悲しい

 

ところが先日

ふとした雑誌にとある精神科の先生が寄稿されていて

ご講演内容を文字に起こしたような感じの文章の中に

 

・・・彼がいました。

 

その偉い先生が

「●●先生が提唱したこの理論を僕が引き継いで・・」

と彼の名前を挙げてくれていて

「これからも彼の遺志を継ぎ、この研究や活動を進めていきます」

・・・ああ、いるんだ、ここに。彼が。

誰が忘れても。

 

葬送のフリーレン

 

冒険が終わり、年老いた仲間が先に死んだ後

一人、長い寿命を生きていくフリーレンに託した勇者との約束

彼がどう生き、どう戦ったか

覚えているということ

伝えていくということ・・・

 

そっか、これが

未来に連れて行くってことなんだね。

 

お勧めです。

ハンカチ必須。握りしめてGO!