10月下旬のある日、私Aはとても焦っていた・・・
仕事が終わり時間は夜の9時「は・・はやく行かねば・・・」
Aは愛車の自転車にまたがり職場を後にした
走る速度もいつもの倍は出ていました
それほどAは急いでいるのです
走っている時の表情はまるで獲物を狙う獅子のような
表情でした
石切から西へ西へ進み荒本の辺りを過ぎたとき・・・
Aの体に激痛がはしりました・・・
「な・・・なんや・・・この足の痛みは・・・」
Aの足を襲ったのは筋肉の痙攣でした
「あ・・・あかん・・・わいは・・・わいはここで死んでしまうんかっ」
果てしない絶望がAを襲いました
絶望に打ちひしがれそうになったその時
Aの体に奇跡が・・・
体中の痛みが消え去ったのです
「な・・・なんやこの感覚は・・・ま・・・まさかランナーズハイ!」
「い・・・行けるこれなら小阪までいけるぞーーー!」
長田から小阪までのまさかのランナーズハイ・・・
Aはその時少し神の力に触れた気がした
小阪の裏路地を抜けAの目的地が近づいてきました
「あ・・・あかんここまで来れるなんて・・・気・・・気持ちが爆発して叫んでしまいそうやーーー!」
Aの目にはうっすら涙がにじんでいました
「あ・・・あそこやわいが行きたっかったんは」
Aが行きたかったのは
たこ焼き屋でした
そう閉店時間の9時半に間に合うよう必死たったのです
Aが店の前に付くと約500円相当のたこ焼きがすでに
焼けていました
Aはすぐに自転車を店の前に止めました
目の前のたこ焼き屋とA
Aとたこ焼き屋の大将の目がバッチリ合いました
その空間は神ですら入れぬAと大将の聖域(サンクチュアリ)でした
しかしその間をすり抜けて悪魔が言いました
「たこ焼き今ある分全部頂戴ー」
「は?」
Aは状況をつかめずにいました
なんとAの前にサラリーマン風男性(悪魔)が割り込み
たこ焼きを買い占めたのです・・・
悪魔は「後で取りに来るからおいといてー」と言い
すたすた歩いていきます
Aがすかさず大将に「400円分いけますー?」と聞きました
すると大将が「30分はかかるねー」と答えました
Aには30分待つ体力は残っていませんでした・・・
「じゃあいいです・・・また来ます・・・」
私Aは泣きながら家路に着きました 完
作者 A改め若松