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リック・デッカードは電気羊の夢を見るか?

先日、行きつけの飲み屋でたまたま映画「ブレードランナー」の話題になった。

その飲み屋は下北沢という70年代に安物のエレキギターをラジカセにぶっ込みギンギンに歪んだ音で「スモーク・オン・ザ・ウォーター」のリフや「天国への階段」のギターソロを弾きながら、「オレは天才だ!」と思った瞬間から成長が止まってしまった絶滅危惧種達の保護区の中心にある。

彼らは独特の言葉と文法を使うため慣れないと聞き取りづらいのだが、おれはこの保護区を担当して既に20年。すっかり慣れてしまった。今では言葉がわからないエレクトロニカ症候群の若者に通訳できるくらいだ。

そんな飲み屋で大好きな映画のうちの一つ「ブレードランナー」の話題。食い付かずにはいられない。
しかも、天井のスピーカーからは大音量でヴァンゲリス。

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話は尽きない。

それぞれにある物語の解釈。

当然だ、5バージョンある。

喧々諤々と小気味良い論破が続く。

こんな所にあの絶滅危惧種達が入って来ようもんならブラスターで蜂の巣だろう。

ご機嫌で家に帰ると、早速DVD鑑賞。しかし、どのバージョンを見ようか30分ほど悩む。

悩んだあげく、ファイナルカット。

やはりこれが一番良い。

劇場公開版やディレクターズカットの違いはエンディングの追加やカットされた暴力シーンの追加だった。
正直あのエンディングの空撮はいらん。と思った。しかもあれキューブリックの「シャイニング」のオープニングの別テイクだし。

ファイナルカットのエンディングは衝撃だった。

ディレクターズカットでいきなり謎の挿入カットだったデッカードのユニコーンの夢の意味。そしてデッカードのレプリカント説の裏付け。ほとんどの「ブレードランナー」の謎が解明されている。

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公開当初からデッカードのレプリカント説はあった。
まず、警察署のシーンで地球に潜入したレプリカントの数をデッカードの上司ブライアントは男3人女3人の計6人で既に1人は死亡していて残りは5人と言っているが実際に登場しているレプリカントは4人。6人目のレプリカントがデッカードでは?という説があったが、実際はメアリーという6人目のレプリカントが存在していたのだが、予算の関係ですべてのシーンがカットされてしまった。ファイナルカットでは台詞が訂正されている。

ディレクターズカットのエンディングでデッカードの「奴らは知らなかったが、レーチェルは命の期限を与えられていなかったのだ。」と言うナレーションが入る。これはどういう意味かというと、永遠に2人幸せに暮らしたと意味にも取れるし、デッカードは命の期限を与えられていたともとれる。

いまいち核心にかける。

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そして、ファイナルカットで謎が解ける。

まず、突然挿入されていたデッカードの見たユニコーンの夢。これは夢自体には意味は無い。重要なのはデッカードがこの夢を見たということ。そして、ラストにデッカードの家にあったガフの作った折り紙がユニコーンだということ。
つまり、ガフはデッカードの見た夢を知っていた。デッカードがレイチェルの見た夢を知っていたように。
もっと言ってしまえば、デッカードはガフの道具であり真のブレードランナーはガフだと言うこと。
憶測だが、デッカードの記憶はガフの記憶だったのかも。

そして、レイチェルもデッカードがレプリカントだと気付く。

デッカードが殴られて帰って来た直後酒を飲む。グラスの中に血が流れ込むがデッカードは顔色一つ変えない。痛みは感じないのか?そして、口から血を吐いた後、頭を水の中に浸す。不可解な行動。

それを見ていたレイチェルは「例の(レプリカントかどうかの)テスト、受けたことはある?」と聞く。

さらに、デッカードが家族の写真を見ているカットや、一瞬目が赤く光るカットがあったりする。

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デッカードがプロトタイプのレクサス7型だったと言う説もある。

真意は謎のままだが、どんな分野にも未だに様々な楽しみ方を提供してくれる作品というのは存在する。優れた作品はどんどん一人歩きして行くもんだ。

久しぶり

3月24日という日は、、、。

当時まだ小学生にもなっていなかった僕はいとこの家で遊んでいた。
いとこは4歳年上で当時小学校2、3年だったと思う。
妹と2人兄妹の僕はいとこを兄のようにしたっていた。

いとこの部屋はいつもゴチャッと色んなものがあったが本棚には当時の少年誌が創刊順に奇麗に並べられていた。
当時は少年マガジン、サンデー、キング、冒険王が人気があって少年現代、少年なんてのもあった。ジャンプ、チャンピオンは創刊したばかりだったと思う。
その中で一際光り輝いていたのが少年マガジン。
ラインナップは強力で「ハリスの疾風」「巨人の星」「ゲゲゲの鬼太郎」「天才バカボン」そして「あしたのジョー」。
木曜日には必ずと言っていいほどいとこの家で少年マガジンにかぶりついていた。

やはり一番のお気に入りは「あしたのジョー」。
何故なんだろう?未だにわからないが必死になって読んでいた記憶がある。

たしかにジョーは今までに無いヒーローだった。

そして忘れてはいけないのが力石徹。

ジョーが今までに無いヒーローならば、力石徹は今までに無い主人公の敵。
悪者ではないあくまでも敵。
そして敵である力石にも主人公ジョー同様、人生がある。

誰もが2人の出会いと戦いに引き込まれていった。
しかし、誰もが予想し得なかったことが起こる。







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力石徹死亡、、、。

えっ?と思った。

それはニュースとなり告別式が行われた。
それが、1970年3月24日だ。

よく力石徹の命日が3月24日とされているが正確には告別式が行われた日だ。

その前代未聞の告別式をプロディースしたのが劇団「天井桟敷」。寺山修司の劇団だ。
寺山修司は葬儀委員長をつとめ、弔辞も送った。

後にテレビアニメで唄われたあしたのジョーのOPの歌詞も寺山修司。

そしてこの1週間後によど号ハイジャック事件が起きており、次の日からテレビアニメ「あしたのジョー」が始まっている。そして、ちょうど1年後の1971年3月24日の「あしたのジョー」放送タイトルは「さらば力石徹」で力石の葬式の話。しかも前週の予告編では52話のはずが、不吉な数字42話と誤植になっている。
一説によると熱狂的な力石ファンのスタッフによるものだといわれている。

とにかく当時力石徹の死は社会現象になっていた。

しかし、ここで注目すべきことは社会現象になっていたということよりも当時のパワーがすごいということ。

「今は時代が違うんだよ。」と言われるかもしれない。そう確かに時代は違う。それはアプローチの仕方が違うということでパワーではない。
むしろ、現代の方がパワーアップしているべきはずであるが、そうは思えない。

おそらく情報量の少ない1970年代は想像力というものが現代人よりあったのではないか?
テレビも白黒、今ほど鮮明ではない写真やイラスト。
その中から半分想像力を働かせ楽しむ。
そういった習慣から国民一人一人が感受性豊かで常に何かを求めている。そんな時代だったのでは無いだろうか。

情報が多いのも善し悪しである。

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「誰が力石を殺したか」 寺山修司

力石はスーパーマンでも同時代の英雄でもなく、要するにスラムのゲリラだった矢吹丈の描いた仮想敵、幻想の体制権力だったのである。丈の風来橋の下での生活、あの犯罪の日々、交番襲撃から集団窃盗、そしてじぶんの血を売って丈をボクサーにしようとした片目の丹下段平の父性への裏切りといったものが、しだいに「あしたのために1」といった紙片による学習へと綱領に組み込まれ、二流の技術のために一流の野性を失ってゆくことになったのである。
「あした」を破産させられたあしたのジョーはどうするか? また新しく幻想の敵を獲得し、水前寺清子のように
♪東京でだめなら名古屋があるさ・・・
と うそぶきながら、トレーニングにはげむか? それともスラムへ帰って昔の仲間たちと解放の夢からはなれて暴力団にでもはいるか? かつてのチャンピオン小林久雄のように浅草のなかを肩で風切りながら、ときにはテレビのボクシングを見て感傷するか?
 力石は死んだのではなく、見失われたのであり、それは七〇年の時代感情の憎々しいまでの的確な反映であるというほかはないだろう。東大の安田講堂には今も消し残された落書きが「幻想打破」とチョークのあとを残しているが、耳をすましてもきこえてくるのはシュプレヒコールでもなければ時計台放送でもない。矢吹丈のシュッ、シュッというシャドウの息の音でもない。ただの二月の空っ風だけである。


(抜粋)

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力石徹
享年19歳(推定)
成績 ウェルター級13試合13勝13KO
    フェザー級 5試合 5勝 5KO
    バンタム級 2試合 2勝 2KO
       通算20試合20勝20KO

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合掌。




力石徹のテーマ [あしたのジョーED]

作詞:寺山修司 作曲:八木正夫
歌:ヒデ夕樹

行け 荒野を おいらボクサー
夕日がギラギラ 男の夢は 
泣け 明日は 今日は狼
自分の傷は自分でなめろ

みんなはこの俺を情無用と言う
月に吠えて一人 Woooo!
親なし宿なしの 名もないボクサーは
鎖を噛みきった Yeah Yeah Yeah!!!

行け 荒野を おいらボクサー
朝日が昇るよ 男の胸に

書け 名前を 「徹」 「力石」
流れる雲においらの指で
聞け ブルース 一人歌うよ
涙は誰にも見せてはならぬ

どこかで燃えている めくらの星一つ
たたき落とせパンチ Yeah!
親なし宿なしの 名もないボクサーは
鎖を噛みきった Woooo!!!

行け 荒野を おいらボクサー
朝日が登るよ 男の胸に Yeah!!!!
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やっぱり、自らクリエイターと名乗るヤツにろくなヤツはいない。

先日、行きつけの飲み屋に行ったときの事、、、。

いつも行くその店はカウンターだけの店で10人も入れば満員になってしまう。
いつものように店の前にチャリを止め、店に入ろうとすると店の前で大声で電話をかける40歳くらいの長髪のいかにも業界人っぽい男がいた。ここ数日静かな下北の街にその男の声は響きわたっていたが近くを走る小田急線の通過音でいとも簡単にかき消された。

店に入ると先客が数名。

カウンターの奥に座る。

しばらくすると先ほどの男が入って来た。どうやら先客は男の連れらしい。先ほどの電話同様大きな声で話す男。連れは一見学生っぽいがおそらく20代前半くらいだろう。体育会系なノリで会話する内容からすると男は映画監督、連れは助監督っぽい。
少しめんどくさい感じだと思いつつも距離を置いて飲んでいた。

すると、突然男が連れにむかって「この雰囲気良いよな!どう?こっから見たこの雰囲気?」と言ってカウンターの奥に向って少し体をのけぞらせ、アゴを引いた感じで両手を90度に開いた。
すると連れの若いヤツがすっと立ち、片目を閉じ、両手の親指と人差し指で長方形を作るとまるでカメラのズームのように開いている方の目に近づけたり遠ざけたりし始めた。
男は若いヤツに「どう?どう?良いよな?この店の雰囲気といい、この客といい。」

え?何?オレ?

どうやらオレも気付かないうちにこの儀式に参加していたらしい。

さらに男は腕を組んで「ここで○○が酒を飲んでて、、、。な?なんか想像つくよな?」と若い連中に大声で話す。男の連れは全部で2人だが2人とも立ち上がり「いいっすねえ!」とか言ってる。
3人とも入り口の方にかたまってどん引きでカウンターの奥を見ながらうなってる。

なんだこれは?ギャグなのか?オレはなんかリアクションした方がいいのか?

すると男はパチンと指を鳴らし「オッケー!わかった!」と言って座り直した。

良かった。やっとカットがかかった。

少し落ち着き、酒を飲もうとするとさっきの男が「いや~、ゴメンね~、オレ、クリエイターだからさ、ついつい発想がわいちゃうんだよね。」

出た!久々に聞いたぞ!!クリエイター発言!!!

しかもオレに向って話している。

さらに男は「キクさんは常連さんなんですね。」

しまった!ボトルの名前を読まれた。しかしなんて馴れ馴れしいヤツだ、しかもオレが飲んでるボトルがオレのボトルとは限らんじゃないか。もしオレがキクっていう友達のボトルを「飲んでいいよ。」って言われて飲んでて、オレがキクって名前じゃなかったらどうするつもりだ?

男は「キクさんは音楽とかやってるんすか?」

完全にオレは男の射程距離内に入ってしまった。

愛想笑いをしながら「(音楽)やってますよ。」と答えると、

男は「やっぱりな!オレ、クリエイターだからそういうのわかっちゃうんだよね!」

おい!唾飛んだぞ!
それに、オレを見た人間は100人中100人が音楽やってるって言うぞ!

男はかなりご機嫌らしく「俺ねえ、映画監督やってるんですよ。」

あんな大声で話していればわかるっちゅうの!

男は「明日からオレの映画クランクインなんすよね。」

いいのか飲んでて?今1時だぞ!

今日のカウンターの中は入店して間もない女の子の店員。
ロックバーなのだがどんな曲をかければいいか悩みながらも、はやりのR&Bをかける。
この店では滅多にかからない様な曲なのだがなんか新鮮でいい。
オレに「どうですか~?」と聞いてくる。
「なんか新鮮でいいねえ~。」みたいなことを言ってみるオレ。

いきなり男が「なんかさあ、そういう”オレ常連なんだよねぇ”みたいな会話やめてくんない?」と言いだす。

言ってる意味が良く分かんなかったが機嫌悪くしてるみたいなんで「そんなつもりじゃないんすけど、すんません。」とその場をつくろうオレ。

男は「オレ、クリエイターだからそう言うの敏感なんだよね。」

もはやこいつの持ちネタ。

そうこうしているうちに男は「遅くなりましたが、よろしくお願いします!」と言って名刺を差し出した。
人間の癖というのは恐ろしい。
条件反射で名刺入れを出してしまったオレ、、、。

別に名刺を渡すのはいい、社交辞令で受けとってとっととしまってほしい。

オレはそう願いながら名刺を渡す。

男は名刺をじーっと見つめ「デレクターってなんすか?」

しまった名刺の肩書きに食いつきやがった。しかもデレクターって、、、。せめてディレクターと言ってほしい。

まあこの展開の責任はオレにある「AV監督やってます。」と答える。

男は瞬間蔑む様な目で「はぁ~ん。」と言い、俺の渡した名刺を胸ポケットにしまうとさっきまでのトーンとは打って変わった声で連れの若いヤツに「AV監督だって。」となんかボソボソ言い出した。

え?何?そんな反応?オレなんか気に触る様な事言った?さっきまであんなにフレンドリーだったじゃん!食いつかんの?クリエイターじゃないの?オレほったらかし?

なんか変な空気なってしまいその5分後に店を後にしたのは言うまでもない。

まったく、自らクリエイターと名乗るヤツにろくなヤツはいない。

羊ヲカゾエルナvol.37


はなっから中止という選択はなかった。
「こんなときだから唄う。」羊は言った。
もちろん反対するものは一人もいなかった。
停電になるかもという声もあった。
だったら最初から電気を消してやればいい。
「羊ヲカゾエルナvol.37停電アンプラグドライブ」
ツイッターでみんなにローソク持参で来るように呼びかけた。
非難の声もあった。スペシャルシークレットゲストは「唄なんか歌ってる場合じゃない。」と言って出演をキャンセルした。
それが彼の正義なんだろう。
彼のことを責めることは誰も出来ない。
 
羊は「別にいいさ。」と言ってニコっと笑った。。
 
彼の名誉のために誰だったかは永遠にシークレットにしておこう。
 
下北沢BAR?CCOはその日必要最小限の明かりで営業を始めた。暖房も切り、最初は寒かったがみんなが持ち寄るロウソクと体温で徐々に暖かくなるのが体感できた。
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演奏もアンプを通さず生声。客席で歌ったりなんてのもあり。
 


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たまにはこんなのもいい。
シンガーが歌わなくなったことで喜ぶ人はいない、悲しむ人はいるだろうが、だから、こんなときだからこそ唄う。
 
 
 
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