行方の判らない天璽瑞宝十種(あまつしるしみずたからとくさ)。

しかし、一見、関係無いと思われる“高野山”(弘法大師空海の開いた、あの高野山)に伝わる話がある。

留学生(るがくしょう)として唐に渡った空海が、密教の全てを伝授されて帰国してからの事。
嵯峨天皇の勅令により、空海は伊勢の内宮に参籠し、
なんと、天璽瑞宝十種の形を書き写して来たというのだ。
これは、“神宝十種高野山本”と呼ばれ、
高野山に保管されているという。

その左端には、
高野山金剛峯寺真言院熊道場…と、書かれている。

しかし、伊勢の内宮の方には、天璽瑞宝十種の話は皆無だそうだ。

では、高野山に保管されている物は、出所不明の贋作なのだろうか?

だいたい、伊勢の内宮と天璽瑞宝十種が何の関係が?
と、思うむきもあるだろう。
しかし、先代旧事本紀の記述を思い出してほしい。

ニギハヤヒに天璽瑞宝十種を授けたのは、
他ならぬ天照大神。
伊勢の内宮に祀られるアマテラスオオミカミである。

そうなると、伊勢の内宮と天璽瑞宝十種が無関係とも言えなくなるのではないだろうか。



歴史は常に動いている。