かつて、
古事記&日本書紀よりも古い史書と呼ばれ、重要視されていた“書”。

『先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』。

天地開闢から聖徳太子の死までが書かれた史書九巻。

蘇我馬子と聖徳太子が推古天皇の勅令によって編纂したと、その序文にある。

よって、700年代初頭に成立した古事記&日本書紀よりも古い史書と言われていたのだが、
後の研究により、平安時代中期(900年代)頃の成立である事が判り、
現代の史学界では、すっかり“偽書”扱いされるようになってしまった。  

しかし、この先代旧事本紀には、
古事記&日本書紀には書かれていない
“ニギハヤヒ”の降臨の様子が詳しく書かれている。


序文の、推古天皇の時代に成立したというのは事実に反するかもしれないが、
ニギハヤヒ降臨についての記述の情報量は、
古事記&日本書紀では全く判らないニギハヤヒの存在の信憑性を高めている。

因みに、
古事記では、
ニギハヤヒの子・ウマシマジが物部氏の先祖、
日本書紀では、
ニギハヤヒが物部氏の先祖である事が明記されている。

故に、先代旧事本紀は、平安時代までその命脈を保っていた物部氏の末裔・石上朝臣(いそのかみあそん)の誰かが書いた物と推測できる。


そんな先代旧事本紀の中の“ニギハヤヒ”について、考えてみたい。



歴史は常に動いている。