古事記に出て来る『出雲の国譲り』伝承について…

なぜ、高天が原(タカマガハラ)は出雲(イズモ)を欲しがったのか?
古事記によれば、国造りが大変上手く行っている出雲を見た高天が原のアマテラスが、これ程の良い国家経営がなされている土地はタカマガハラが管理すべきだ!と考えたらしい。

なんと都合の良いイイグサか。

因みに、最初に高天が原から出雲に派遣されたアメノホヒは、すぐに出雲のオオクニヌシになびいてしまう。
二番目に派遣されたアメワカヒコは、出雲を自分の物にしようと画策する始末。

要するに、それだけ出雲が魅力的な土地だったのだろう。

結果、三番目に派遣された高天が原最強の軍神タケミカズチによって、出雲は強攻奪取されてしまった。

ところで、高天が原のトップは言わずと知れたアマテラス。その時の出雲のトップはオオクニヌシ。オオクニヌシの先祖は、かつて高天が原を追放された、アマテラスの“弟”スサノオだ。

なぜ、アマテラスは弟の子孫が真面目に働いて作り上げた国を力ずくで奪ったのか?

これはあくまでも仮説だが…

スサノオが初めて出雲にやって来た時に倒した“ヤマタノオロチ”の尾を切り落とした時に、その体内からスサノオの剣が刃こぼれをする程の硬い剣が出て来たという。
これが“アメノムラクモノツルギ”で、おそらくは初めて発見された鉄器だったのだろう。

すなわち、出雲は鉄の産出地で、後に鉄の武器の一大生産地となったに違いない。

高天が原(と呼ばれる征服者側)は、この技術が欲しかったのだろう。
全戦力を挙げて出雲を全滅させる事も出来たかも知れない。
しかし、それでは製鉄技術者まで根絶やしとなり、鉄の武器も作れなくなる。
よって、どうしても出雲の人民、特に技術者を懐柔する必要に迫られたのではなかろうか?

そこで、
「お互いのトップと創始者は、姉と弟の関係なんだから、上手くギブアンドテイクでやって行かないか?」
と、出雲側の意識を軟化させる為に作り上げたストーリーが、アマテラスとスサノオのエピソードだったのではないだろうか?

これまた物証が無いので断定できない話だが…


歴史は常に動いている。