仏教は無神論を主張する宗教です。

これは、西洋でいうところの有神論が仏教には

ないということです。

 

神や仏というのは、大雑把な言い方で、

日本で「神」といえば、神道の神々などが

ふつう想定されます。

しかし、ヨーロッパで「神」というと、

全知全能な絶対神のことで、

また、インドでは自在神を指します。

そのような神が仏教では否定されるというのです。

 

宇宙はこの神によって創造されたというのが、

ユダヤ教やキリスト教の思想で、

宇宙創造神といいます。

神は世界を支配し、コントロールします。

また、掟をつくり、それに反した人間は

罰せられます。

これが神、人格神の考え方です。

 

それに対して仏教は、このようには考えません。

絶対的存在ではなく、自分たちが何をするか

ということが重要であり、自らの行為が

すべてを決定すると考えています。

このような意味で、無神論といえます。

 

それでも、梵天(ブラフマー)や帝釈天(インドラ)

といった神々が仏教にもいます。

それらは元々、ヒンドゥー教の神ですが

それが仏教では仏に仕える形で

摂取されているのです。

 

しかし、解脱、成仏に関してこれらの神々は

直接に関係することはありません。

神というのは、存在しないともいわず、

またどこかに存在するのかもしれない。

いずれにしても悟りには全く関与しない

ということだと思われます。

 

仏教では絶対的・超越的な神が存在するか

どうかは問題ではなく、自らの修行を

完成させようと努力することに主眼を置きます。

 

お釈迦さまに帰依したり、礼拝することはありますが

それでも仏陀を絶対的な実在と

考えることはありません。

 

あくまでも煩悩に悩まされ、迷っているのは

自己の問題であり、自らでそれを梵行によって

悟りに到達することでしか救われないというのが

元来の仏教であると考えられるのです。