観音菩薩は、ほとけさまの中でも
非常に人気の高い尊格だと思います。
観音という名前は、もともとは
サンスクリット語で
アヴァローキテーシュヴァラといい、
古い漢訳では「観世音」略して観音、
新しくは玄奘三蔵によって「観自在」と
漢訳されました。
観音菩薩は、紀元前後に初めて登場したとされ、
それから仏教が伝わったあらゆる地方へと
広まっていきました。
この尊格は、菩薩であるので
完全な仏陀(如来)となるために努力している、
修行中の存在といえますが、
ほとんど仏陀と同等の智慧を
備えているとされます。
あえて仏陀とはならずに衆生救済のための
利他行を行っているのです。
観音菩薩が現れる経典で最も有名なのが、
『観音経』です。
これは『法華経』という経の第25章にあたり、
真言宗でも単独で取り出され、よく読誦されます。
『観音経』では、観音菩薩の慈悲深さが強調されます。
章のタイトルは「普門品」といい、その中で
観音菩薩があらゆる方角を向いて、
様々な苦しみに悩む衆生を救済することが
説かれています。
散文に続く、偈文では、
「念彼観音力」という定型句が多用され、
観音の力を念ずることによって、
誰もが観音菩薩の救いを受け、
利益を得ることができるということが
示されています。
また、観音菩薩は33の姿に変化することができ、
対機説法を示しているかのように、
相手に対して様々に救済の手を
差し伸べることが説かれています。
この33というのは、後には
三十三観音や三十三か所霊場の
信仰に発展しました。
さらに、浄土経典である『無量寿経』などは
『法華経』よりも2,3世紀遅れて成立したとされますが、
そこでは阿弥陀如来を主本尊として、
その脇に置かれる菩薩として観音菩薩が
登場します。
それ以降、観音菩薩の展開は、
変化観音の出現という形に発展します。
これには密教が現れてきたことと
大きく関係していると考えられます。
続きあり・・・・・・