さて、今回は杉の木の加工方法を少しだけ?述べます。
まず、仕上げ加工として有名なのが卯造りです。多分この表記は当て字かもしれません。
一般には浮造(うづくり)と表記されてまして、これは杉などの夏目と冬目の堅さの違い
を利用して実に立体感ある陰影(これが日本建築の特徴)を作り出すことにあります。

多分ウイキペディアにもあるように刈萱の根を束ねたものをブラシにしてこすると書かれてます。
実際、私が刈萱を束ねたブラシを使って浮造りかけたのは多分7,8年前が最後です。
刈萱も元住んでいた日光で最後に購入できたのは多分昭和50年くらいが最後だったと思います。
最近は聞いても解らないしハンズにはありますが中国産の漂白したもので全く使えません。
そのわけは後述するとして、多分手に入りにくいと思います。
しかし、この大変な手作業を今時機械技術が発達しているのに何とかならんかと、思うのは
私一人ではないでしょう。そこで、私が実際に行って80%満足の行く方法をご紹介いたします。

普通、銘木店が大量加工した浮造りはホイールサンダーで作られています。したがってワイヤブラシで
ガリガリと削られたものですのであまり艶が出ません。そのため若干木蝋などを塗ったりします。
乾燥時には木蝋もよいのですが梅雨や湿気によりあっという間に白化してしまい曇るので注意が
必要です。まあバーナーかトーチランプであぶれば元に戻りますが・・・。

そこで、私の行った方法ですがまず、板を綺麗に削ります。プレーナー、超仕上げ(仕上げ鉋で良い)
で仕上げ、真鍮のカップブラシをディスクサンダーに取り付け軽く押し当てて研磨するのです。真鍮は柔らかく折れやすいのでデニムの前掛けなどをしないとズボンに細かい真鍮の針が刺さって大変なこと
になります。回転が速いディスクサンダーなのでカップの真鍮は外に寝てワイヤーの腹の部分で材料を
研磨する為夏目を必要以上削り込まないのでかなり良く仕上がります。また適度な艶もでてワイヤブラシとは全く違った自然に近い仕上がりです。

また長くなりましたので、焼き杉加工は次回ということでお願いします。


木風呂-霧島杉
 
霧島杉
前回に続いて杉の木です。
コメントを戴いて有難うございます。
調子に乗って言い忘れたことなど大切なことなどなどをつづります。

まず、この木がいつごろから認知されたかというのは記録にあるのは
日本書紀です。
大体神話の類はその系統の正統性を記する事によってその王朝の
正統性を誇示(証明は書いてあることが明かしになるらしく)することが
目的で、かかれます。と、前置きはいずれにしろ
ここに書かれていて大切なことは杉の木は船に使うべしというくだりです。
つまり、大して圧縮強度などの機械強度の優れない杉材を船に使えとは・・・。
このことは、多分私が思うにまず、塩害に強いと言うことです。
塩素の化合力はなかなか強くほとんどの木は腐食してだめになってしまいます。
海辺にヒノキつくりの神殿が少なく杉のきで建立された神殿寺院が多いのもこのためでしょう。
比較的強いのは椎樫、ケヤキの若木(多分100年生以下)のもののようです。
なるほど考えれば漬物桶などや味噌桶醤油桶に杉、椎樫を使います。
ただケヤキは使いませんが・・・。
そして、重い椎樫も大島や八丈島などの孤島では杉が自生してないためやむなく
使っていてもあまりに重いため杉桶を買うというようなこともあるらしいです。
そして、繊維細胞が長いためか曲げには結構強さがあり舟材にもってこいです。
したがって、和船のほとんどは杉で、それをまげてあの流線型を作っていました。
釘はもちろん使いましたが現在の洋丸釘(洋傘釘?)でなくクサビがた(四角垂)
のもので頭を曲げたものです。

さて、その起源はどうも中生代(約2億5000万年前~約6500万年前)のむかしからある
古い植物で、裸子植物になります。したがって、導管が無く仮導管という錘状のものが
つながったものが導管の役目をしています。このためかどうかある程度の水分は立てて置くだけで
抜けますが、(これが広葉樹に比べ早い)そこから先の細胞結合水(細胞壁内に残る水分~含水率
30%)がなかなか抜けません。これが杉の乾燥を困難にしています。

杉を植物学的に見ますとクリプトメリア・ジャポニカと呼ばれる日本固有の植物で英語の
シーダーは全く違う松科の植物をさしていて別物です。この辺が最初に翻訳した方の理解
の違いでその後英語で言われる植物と日本語訳した植物が一致しないややこしい事態が起きて
来ますが、とりあえず今回はその話はとっておきます。

そして、材木や(元自分もそうでいたが)も悪いのですが似たような木目の出来るものを
米杉(アメリカネズコ~ヒノキ科の植物)、米松(アメリカトガサワラ~ツガの類)などと勝手につけたものですからややこしいことこの上ありません。
私は植物学の専攻ではありませんが、松は松、杉は杉でのきっちりした分け方をしないと
最終的に困るのはお客様ではなく自分たちになることと思います。

今回はちょっと長いので、アウトラインで止めます。
次回、加工法その他でもう一度触れたいと思います。

銘木は杉に始まり杉に終わると斯界の先輩が言われていたことが
最近少し解るようになってきました。 
では、また次回に。

木風呂-春日杉

春日杉杢
今回は前々回のフォーマットに戻して木に関する事柄をつらつらと
書きたいと思います。

で、前々回は柿の木というマイナーな種類でしたので、今回は日本でもっとも
ポピュラーな木で行きましょう。

で、この木の物性はかなり研究されています。
ヤング率やら含水率やら曲げ強度、圧縮強度、引っ張り強度などの
物理特性は一覧表が出来ていますが・・・、
実は、この木ほど平均的特性があるようでばらつきが大きい木は無いと思います。

産地、樹齢、立地方角、などでまったく違うんですね。
一般的に杉は使いやすく直材がとれるため丸桁や、柾目を生かし長押や、廻縁、竿縁
などの造作材に使われます。
大径木(末口直径90cm以上)では、天井板を採りつつ、造作を割り間で採ります。(このとき、木挽きさんに盤割してもらうと無駄がありません)

ところが、立地が悪くアテがあるとそれどころではありません。
アテとは陽疾と表記され噛み砕けば残留応力が細胞を変形させ固定化されたものなのです。
これは、平地が少ない斜面に立地するわが国の植物に多くそれを理解なくして木を使いこなす
事は不可能で、木材業者や製材業者は如何にこれを理解し現場業務にあたるかというくらいの
大命題です。
一般に針葉樹では幹の北側がアテの部分で、広葉樹ではこの逆の幹の南側の部分がそれに
あたります。
これを事細かに解説すると長くなるので今日は先へ進みます。(別の機会にまたお話します)

産地でも当然下土が肥沃か痩せ地か、砂地か黒土か、でまったく違いますし、山の中腹か沢付
(谷沿い)かでもまた強度などがまったく違います。
樹齢でも違っていて30年生、70年生、150年、300年となるほど強度は上がります。
また同じ年代でも年輪が開いている物よりは詰まっている物の方が強度は上がります。

個体間の強度が違うと言うことはとりもなおさず個性豊かなのでしょう。
その個性を見分けつつあたることがとりもなおさず西岡棟梁の言われた
木の癖みて木を組むことなのでしょう。

私達、古民家鑑定士もその家の棟梁の仕事に思いを馳せつつ過去の技術に
敬意をはらい鑑定させて戴きたいと思います。
木風呂-関の甕杉
関の甕杉

木風呂-杉の皮肌(4,50年生)
杉の皮肌(4,50年生) 
画像:ウイキペディアより
今回はちょっとポリティカルな事を初めてのせます。

最近の政府の体たらくは目を瞠るものがあまりにも多い。
政権交代を旗印にまさしく交代したはずの政党が
これじゃあ交替にもならず後退してます。

政権後の構想を掲げていたはずの人たちが、その構想
に足を絡めとられたり、交代したことだけがゴールと
なったのか、無為無策であったりとあまりにもひどすぎます。

頂点にたったときこそが正念場なのに浮かれ切った姿が見て取れる
数々の失態は国民を暗澹とさせ景気に影を落とします。
居眠りしてる場合じゃないんですよ。
モデル気取りで撮影してる場合じゃないんですよ。
(あ、もともとそうか!)
スタンドプレーやら思い上がりも甚だしい事この上無く
こいつらホントにこの国を憂いていないんじゃないか!と思ってしまいます。

いや、これっぽっちも考えていないでしょうね。
自分の首をつなぐのに精一杯なのかも。

かつて、この国の政治家と呼ばれた方たちにはもちろん影日向ありましたが
もう少し志高いものが確固としてありました。
犯罪人として裁かれた人の中にも確たるものを持ち殉じた方もいましたが、
今、そんなやつはいないよね・・・ということが顔に書いてあるようじゃ
しょうがないですね。
そのくせ面の皮は厚い樹脂モルタル張りの頑丈さじゃないですか!

人の振りみてわが振りなおせ。
ですので、心整えてわが信ずる道を行きましょう。

古民家鑑定士は日本の伝統的資材に精通し気候風土に合った持続可能な
住環境を次世代に継承させるべく住文化を守り活かし伝えてゆくこと。
(おお!決まった!やっと核心のテーマが出て来ました)
http://www.200live.com/
晩秋の候如何お過ごしでしょうか?
あの暑かった夏は何処へいっちゃったんでしょうか?
今日は、雨でかなり寒くなってます。

と、いってもこれが標準な気候なんでしょう。

で、今回は柿の木を俎上に。
う~ん。大好きなんですよね。柿の実は!
でも、材料としてはとても扱いづらい素材ですね。
まず、第一に堅い!そして脆い!
緻密で重い素材ですが、黒柿と呼ばれるもの意外は使用されていません。
その黒柿ですがこれも千本に一本とか万本に一本という希少性。
あまりに少なく大径木がないので板材はほとんど見られません。
使ってあっても貼りの矧ぎ合せというものがほとんどです。

で、古民家にしろ家具にしろちょっとだけ使って見ました的使用法が
主流です。
ので、柱になっているのはよいほうで、床の間の框、もしくは落としがけ
程度です。そして、業界用語で言うボーズ(決して某国のスピーカーじゃないんですが)
という黄色もしくは象牙色に真っ黒な染みのようなものがまだらにあるだけという状態が
ほとんどです。
銘木業者が珍重するのはこの程度ではなくてまず黒がさざなみ状というか孔雀の羽を広げた
ような見事な紋様を見せていること。
そしてこの、アイボリーと黒の合間に輝く緑色(瑠璃色)が配色されているものが極上な物と
されています。
自分も昔これを見ただけでなくお客様に納品したことがありますが、なにせン百万円の代物
なので搬入やらなんやらかんやら大変緊張したことを覚えています。
床柱一本(それも素材だけですから)、これから刻み、取り付けでいったいいくらかかるのやら
とおもいました。

ところで、この黒い発色はいったいどういう理由でこうなるのか・・・。
東北、それも山形、新潟に多く渋柿にしか現れないことからタンニンが何かと化合し発色した
であろう事は推測できます。それがどういうメカニズムなのかは興味深いのですが、調べている
学者さんもいなければ解明もありません。そして、扱いとして黒柿丸太は伐採してからすぐに
製材すると小ヒビが入りめちゃくちゃに割れてしまうので、やれ一梅雨あててぬかで醗酵させる
とか、池(もしくは水中)につけ一年寝かすとか諸説あり定かではありません。
口伝継承もよいのですが科学的な分析も必要かと思います。
実は、木材はまだまだ科学的分析が少なく未踏の大地であることは憂うべきことなのですが・・・。

今回も長くなってしまいました。

木風呂
縞黒柿(左側に緑色~瑠璃がでている)画像提供:青石銘木店