国際通信社INPSが池田先生にインタビュー
2019年4月30日
NPT(核拡散防止条約)再検討会議準備会合に寄せて
条約が示す精神に立ち返り核軍縮の機運高める努力を
国際通信社INPS(インターナショナル・プレス・シンジケート)の基幹媒体で、分析記事に定評があるIDN(インデプスニュース)が、19日付(=ウェブサイト)で池田先生へのインタビュー記事を掲載した。
インタビューは、29日にアメリカ・ニューヨークの国連本部で開幕したNPT(核拡散防止条約)再検討会議の第3回準備委員会に寄せて行われたもの。メールで送られた質問に答える形で進められた。
この中で先生は、NPT発効から50周年となる明2020年の再検討会議を前に、核問題は大きな岐路に立っているとの危機感を表明。核兵器の開発を巡る対立が、これ以上エスカレートすることのないよう、緊張緩和への道筋を探ることが急務であると訴えている。
その上で、来年のNPT再検討会議に向けて、今回の準備委員会は核軍縮の機運を高める手だてを話し合う場にしていくことが求められると言及。
アメリカとロシアの間で核軍縮のともしびが消えかけようとしている現状を踏まえて、混迷を続ける核問題を打開するには、NPTの前文にうたわれている“核戦争の危険を回避するために、あらゆる努力を払う”との精神、また、第6条に明記されている“核軍縮の誠実な履行の誓約”というNPT制定の原点に立ち返ることが重要であると強調している。
一方、2017年に国連で採択された核兵器禁止条約について、条約発効に必要な50カ国の批准の歩みは「着実に進みつつある」と指摘。その上で、核兵器を保有する国々に政策転換を促すには、核に依存する国の間においても「核兵器のない世界」を強く望む意思を目に見える形で表していくことが重要であると述べ、本年1月の「SGIの日」記念提言で、「核兵器禁止条約フレンズ」という有志国によるグループの結成を提唱し、唯一の戦争被爆国である日本がその活動に加わり、貢献していくよう呼び掛けたことを紹介している。
核兵器禁止条約を巡る立場の溝を埋めるために、SGIとしてNGOをはじめ、さまざまなFBO(信仰を基盤とした団体)とも協力しつつ、核兵器禁止条約を支持するグローバルな民衆の連帯を広げ、広島と長崎への原爆投下から75年となる来年を「核兵器禁止条約の発効による“核時代決別への出発年”にしていきたい」としている。
さらに、インタビューでは、AI(人工知能)兵器やロボット兵器と呼ばれるLAWS(自律型致死兵器システム)の問題もテーマに。
池田先生は、良心の呵責も逡巡も生じることなく自動的に攻撃を続けるLAWSには、人道的観点や倫理的観点から重大な問題があるとし、各国で実戦配備の状態を迎えてしまう前に、国際的な規制の枠組みを早急に設ける必要があると呼び掛けている。
特に留意すべき点として、LAWSは、ドローン兵器の場合にみられるような、攻撃を「する側」と「される側」の人間が同じ空間にいないという“物理的な断絶性”を生じさせる傾向が強いことに加え、実際の戦闘行為が攻撃を意図した人間と完全に切り離されるという“倫理的な断絶性”を招くと言及。
これは20世紀の2度にわたる世界大戦をはじめとする多くの惨劇を経て、国際社会の中で重視すべきものとして確立されてきた「人間の尊厳」や「生命への権利」などの原理に真っ向から反するものであり、“倫理的な断絶性”に目を向けることを忘れてはならないと訴えている。
そして、SGIとしても、LAWSにひそむ本質を見据えつつ、開発と使用の禁止を求める国際世論を粘り強く喚起していきたいと述べている。
※英語のインタビュー内容は、インターネットで「Eminent Buddhist Leader Urges Halt to Nuclear Weapons and Killer Robots」、日本語は「著名な仏教指導者が核兵器とキラーロボットの禁止を呼び掛ける」と検索すると閲覧できます。
(2019年4月30日 聖教新聞 https://www.seikyoonline.com/)より