真剣と誠実の歩みが道を開く
小説『新・人間革命』の完結以来、読了運動が各地で活発に進められている。学会に脈打つ師弟の精神こそ、日々の前進と勝利の源泉にほかならない。
日本出版販売株式会社の安西浩和氏(専務取締役)は、「『人間革命』と、それに続く『新・人間革命』は、困難に屈することなく、ひたすらに民衆に寄り添う指導者の物語」であると語っている(本紙1月22日付)。
『新・人間革命』研さんの際にも活用されている月刊誌「潮」のドキュメンタリー企画「民衆こそ王者 池田大作とその時代」――この中でも毎回、民衆に寄り添い続ける師の姿が描かれている。それは目の前の一人と信頼を築き友情を結ぶ、誠実あふれる振る舞いの連続だ。
現在は「未来に生きる人」篇と題して、未来部員ら幾多の青年への池田先生の励ましのエピソードが紹介されている。
1969年(昭和44年)、浜松市を訪問した先生は60人近い高校生らに、発刊間もない小説『人間革命』第5巻を贈った。皆の卒業や入学の時に「その5巻を持ってきてほしい」と語り、一人一人に内容の違うお祝いの言葉をしたためた。全員に言葉を贈るまでに数年の歳月を費やしている(「潮」1月号の連載「民衆こそ王者」から)。
その2年後、青森市内で同志との記念撮影会に出席。「八戸に来てください」――会場に駆け付けた一人の女子中学生との約束を果たすため、翌日、先生は予定を変更し八戸を訪れる。ある識者は「小さな約束が、ここでは大切にされている」と感嘆している(同3月号)。
信頼とは「小さな約束」を守る中で育まれると銘記したい。
またある時は、学会員ではない青年と会い、温かく激励。学会に無理解だったその母親とも心を通わせた。先生は「学会を嫌いな人に、好きになれと強要しても無理だよ。『学会は嫌いだけれど、貴方は好きだよ』と言われる人になればいいんだ」と、誠意ある交流を通し友情を築く重要さを語った(同4月号)。
なぜ心を結べるのか――『新・人間革命』で、先生は山本伸一に託し、こうつづっている。「私は真剣なんだ。この人と会えるのは今しかない。そのなかで、どうすれば心を結び合えるかを考え、神経を研ぎ澄まし、生命を削っているのだ。その真剣さこそが、智慧となり、力となるんだよ!」(第20巻「友誼の道」の章)。師の真剣と誠実の歩みに学び、信頼と友情を広げる対話に打って出たい。
(2019年3月10日 聖教新聞 https://www.seikyoonline.com/)より