大型犬とダックスの飼い主さんへ!
最も緊急な症状をお伝えします。
「吐き気はあるが吐けない」です!
この症状は「胃拡張胃捻転症候群」(以下、胃捻転と略します)の特徴的な症状です。
胃拡張胃捻転は動物病院が最も緊迫する、超・超緊急疾患です。
本当に一分一秒を争う疾患であり、治療が遅れた場合は死亡率が非常に高いです。
つまり、飼い主さんが「いかに早くつれてくるか?」が命運を分けます
是非ワンちゃん仲間にお伝えください。リブログも大歓迎です。
早速みていきましょう!
胃捻転のポイント
1. 胃が捻転(ねじれる)ことで、胃に大量のガスがたまる
➡ただちにショック死の可能性がある
2. 迅速な緊急処置と手術をしなければ、短時間で死亡する
3. 大型犬(ゴールデン、ラブ、ハスキー、スタンプーなど)が圧倒的に多いが、なぜかダックスフンドも多い
4. 症状が特徴的で、「吐き気があるが中身がでてこない(捻転しているので)」あるいは「お腹が膨れてきた」
<実例紹介>
スタンダードプードルの男の子P君が緊急搬送されました
まさに、「朝から何度も吐きたそう、しかし吐けない」という典型的な症状です
来院時、P君は気持ち悪そうでお腹が膨れています
レントゲンを撮ると、胃にガスがたまっています
胃が「ポパイのマッチョな腕」に似ているので「ポパイ・サイン」と言います
早速手術を始めました
メスを入れるとガスがたまった胃がでてきました
ガスを抜く処置をします
ねじれていた胃を手で戻します(くるんっと戻します)
さて、胃捻転の手術の難しさはここからです
①捻転により、胃の一部が壊死している場合、胃の手術も必要になる
②胃だけでなく、脾臓(ひぞう)破裂などがあった場合、こちらの手術も必要になる
お腹を開いたあとで、①②のようなさまざまな手術が必要になることも
P君の場合、胃の一部が壊死していたのでこちらの手術も実施します
さて、手術の仕上げとして一番大事な工程があります
それが「胃固定」です。
二度と捻転しないように、胃の一部をお腹の壁に縫い付けてしまいます
これで再発率は5%以下になります
お腹を縫って終わりです
胃捻転の手術は、術後もしばらくは油断できません。
不整脈の発生などで死亡することがあるからです。
P君、よく頑張ってくれました。
無事に退院してくれました。