看脚下 | はんこや夫婦のつれづれ日記

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黄綬褒章受章・現代の名工・なにわの名工・厚生労働大臣検定一級印章彫刻技能士・愛知県印章協同組合技術講習会特別講師・全国印章技術大競技会審査員の「きあんおじさん」が、はんこのうんちく・職人としての生き方・はんこ業界のあり方を綴っております

Facebookに5月の個展のテーマを「禅語」を中心に考えたいという内容のお話をしまして、出発点の作品として「看脚下」の写真を掲載いたしました。

「看脚下」については、ブログに書こうと思いました。

 

私の持っている禅語の本には、「看脚下」の意味をつぎのように説明されています。

・・・お寺の玄関などによく掲げられている言葉です。足元に気を付けなさい、履物を脱いだらそろえておくように、といった意味合いですが、これは自分自身への反省をうながす言葉でもあります。・・・・

 

先日、印友から「ものづくり教室」で中学校に石のハンコづくりを指導しに行った時、生徒さんから次のような質問を受けたことを話してくれました。

「これからハンコが無くなる時代に、印章店さんはどのようにされるのですか?」

それにどう答えたのでしょうか。

おそらくきちんとは説明できずに、急にそんな質問を受けて驚かれたことだろうと思います。

しかし、何故そのような質問をされたのだろう?

中学生は、消しゴムはんこをつくっても、実用印章は身近な存在ではないだろうし・・・

印章の足元は、中学生に心配される?あるいは不要と思われるくらいの状態となっているのだろうか。

我々の足元はどうなっているのだろうか?

常に社会との接点を考えていかないと

消えゆくことは、中学生でも理解できる状態になっているんだと考えます。

今日、何本の注文があるからいいんだとか

それでも来てくださるお客様があるとか

「それでも、はんこは要ります!」という変な精神論

・・・いつも言っているように・・・

・・・この頃は、印面に向かえることだけでも感謝なのは、当店だけではないのではないでしょうか

本来、これから繁忙期のはずですが・・・

 

リブログで出てくる記事には「技能グランプリ」の事が多くなりました。

グランプリに参加選手として行っていた時は、なぜこんな繁忙期にあるのかと、仕事と練習と組合活動、技能士会活動の間で大変な思いをしましたが・・・今はどうなのでしょうか?

今年のグランプリは九州の小倉です。(私も審査ならびにお世話係で、この23日から小倉へ)

ブログをされている人の中には、参加を宣言している方もおられます。

偉いと思います。

公表すると、結果を言わなければなりません。

自分に圧をかけるのは、大切なことです。

何もいわなければ、無かったことで済みます。

無風状態・・・今の印章業界をよく表した言葉に近い方もおられます。

来年実施される検定は「厳しい状態」というより、技術を軽視してきた結論として技能検定継続は「困難な状態」だと思います。

グランプリもどうなるのだろうか?とふと考えてしまいます。

奢れる時にこそ、「看脚下」と叫ぶ者がいなかったんだな・・・。

 

「看脚下」を説明している禅語の本は、冒頭の説明に続いて次のようにあります。

・・・進むべき道の中で今どの地点にいるのか、これまで歩いて来た道は正しかったのかどうか。また、自分の考えは正しいのかという、自分を省みる時にも、ひとつの道しるべとなる言葉です。今の自分でいいのかと悩んでしまうような時は、一度立ち止まって、自分の足元を見つめ直してみましょう。