極月や冬という名のデザイナー
【作者】ホーカン・ブーストロム
メソポタミアから始まった印章の長い歴史からすると、今日で64歳になった私は、はなたれ小僧どころか、ほんの小さな点にしか過ぎません。
点には点の役割があると自覚した誕生日となりました。
昨日、大阪産業創造館の経営相談で小山先生を訪ねました。
個展のテーマに悩み、ご相談させて頂いたのですが、もっと大きな視点をくださいました。
今年5月の個展、現在のクラウドファンディング、来春の銀座での個展に繋がるのは、これまでの印章の概念から飛び出した新しい印章デザインの在り方を社会に提示していこうという大きなコンセプトがあります。
今までタンスの引き出しや金庫に大切にしまわれていた印章の社会的役割が変化してきたのが現在の状況です。
確かに印章は存在し必要でありますが、棒状の印章という商品価値は低落し、その未来はないことは確かなことだと、業界人も消費者も認識している事だろうと思います。
私の場合は、それでもここに印章は必要だ!便利なものだと呪文のように唱えるのではなく、培ってきた技術を最大限に使い、新たな方向を示唆していきたい、それが点としての私の役割だと考えています。
63歳から家内と共に始めたプロジェクトで、勿論周りの多くの人に協力をいただきながら、今日、64歳になりました。
今朝、ご子息様のご実印を引き取りにこられたお客様が、印章の今後や来春の東京での個展についてご意見をくださいました。
産創館の小山先生と同じく、個展後をどうするのかという自らの仕事へのコンセプトをきちんと持って望まないと、とてつもなく大きな市場の東京では、声もかかるであろうが、変な利用のされ方もするので注意した方がよいとご助言下さいました。
点としての役割もあるのでしょうが、ファーストペンギンです。
きっと70歳なら、クラウドファンディングなどできなかったことだろうと思います。
デジタル化の波は、「押印廃止」から業界の在り方を問い、今の印章を取り巻く環境を悪化させていることは事実でありますが、歴史的観点からは、いろんな膿をあぶり出して、印章の次の役割を考えるきっかけを作り出してくれたことと、前向きに考えて、更に励んでいきたいと思います。