春風のどこでも死ねるからだであるく

【作者】種田山頭火

 

 

昨日、3か月ごとの検査で採血をしました。今朝その左手の痕が黒くなっていて、注射器の針孔からその黒いものが抜けてゆく夢を見ました。暫く忘れていたのですが、今ふとそれを思い出しました。

気持ちを穏やかにして仕事に向かいたいと思い、小説を読む癖を取り戻しました。時間的にも気持ち的にもいろんな意味で取り戻したのですが、どうしても今の気持ちがある一点に向いていることを、読んでいる本から再認識させられます。

『田園発 港行き自転車』(宮本輝著)を読了しました。

読後感ではなく備忘録的に気になった所を残しておきます。

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真帆が父の遺品のボストンバックの使用と修繕を母に確認した時・・・「万年筆にせよ、小物入れにせよ、財布にせよ、食器にせよ、モノであっても命というべき力が宿っている。使わないと死んでゆくのだ。」

 

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「―――日本の職人が使う道具を作る職人というのがいる。その道具はあまりに種類が多すぎて、いちいち例をあげるのは困難だが、たとえば大工なら鑿や鉋類であり、織物師なら機織り機や横糸を通す梭などだ。

 表具師、仏具師、蒔絵師や象嵌師、その他さまざまな技術者が、多種多様な道具を使う。

 その道具を作る職人がいなければ仕事はできないということになる。まさに黒子であり、縁の下の力持ちであって、この人たちの名が表に出ることはない。」

 

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「なんでも安ければよいという考え方は、これからさらに世の中全体の風潮となっていくだろうが、だからこそ本当にいい物の価値に気づいて求める人々も増えていくはずだ。」

 

有難うございます。とても穏やかで優しい気持ちになれました。

そういう思いをもって印面に向かい、きちんと手順通りの仕事をしていくと、必ずいい物が出来ます。その繰り返しをしていくと、本当に仕事が楽しくなってくるのは、自分でもとても不思議な気分になれます。

さあ、次は何を読もうかな。