
とある同族企業は毎年50名超の縁故採用者を本社勤務に受け入れていました。公務員のキャリアとノンキャリアのようなもので、縁故採用者は、キャリア組扱いでした。政財界の大物の血を継承する若者が、出自を明示して入社してきます。そして3年程度で退社します。
この仕組みは、経営者にとっては安定株主のようなもので決して期待を裏切りません。キャリア組の若者はハングリーではありませんが、江戸時代同様、子供の不始末は一族郎党が責めを負うので、会社にとって不都合な粗相は決して発生しません。経営者が必要とする仕事を、彼らは一族の力を使ってこなしていきます。そして3年程度のサイクルで退職し家業を継ぎます。国会議員であったり、同族会社の経営者であったり、実家の業務提携先との婚姻であったりします。
この仕組みは、中小企業では機能しないことがあります。
大企業の営業担当責任者の子弟を、中途で採用した小さな会社がありました。この会社は、取引先企業のVIPの子弟を受け入れることで、受注増を期待しました。ところが、「買い」の思惑がおおきく外れました。三ヶ月たっても受注はなく、子弟の勤怠は非常に悪く、一般社員の評判も悪いという三重苦になりました。
「反省」
人質をとって取引が成功することは、映画ではあまりありません。このような不適切な商行為は、実現してはいけないことなのでしょう。受け入れた子弟を商売の道具にするのではなく、育てて実家に戻すという気持ちが、欠けていたのです。「人質」に属人的な欠陥があったとしても、目先の利益に惑わされて縁故採用の大義を忘れていました。