始末書を提出したことがあります | 団塊世代の"愚考にため息"

団塊世代の"愚考にため息"

ふと思い出す過去の出来事と後悔。次々と、浮かんでは消えていく愚考を書きとめていけば、いつかはネタ切れになるはず。きっとその後は、良き日々の思い出だけが浮かんでくるにちがいない。

初めて就職した会社には15年勤続しました。
その間に始末書を2通提出しました。

一つは、マニュアル通りに業務を遂行したにもかかわらず会社に10万円ほどの損失を出した時です。当時、フロント係をしていて、事前に電話して宿泊予約確認がとれているお客様に対して、業務マニュアルどおりチェックイン時に室料の2倍の前金をいただきました。
ところが、この方はルームサービスで高額なメニューをたくさん注文し、前金を超える売掛が発生しました。そしてチェックアウト時にいなくなりました。いわゆるスキッパーでした。

経理で所在を確認すると、両親と連絡がとれましたが本人は居所不明でした。そして売掛は未収となりました。ここで、職場長よりチェックイン処理をした担当者が始末書を書くように指示されました。

当時20代の若者が、業務マニュアルどおりに仕事をして、その責めを負い始末書を書かされることに納得がいきませんでしたが、提出しました。

ひな形を渡され、一言「結果として」という文言を挿入しました。これに支配人が怒りました。本人は反省していないということで、「結果として」を削除して再提出を命じられました。

今でもこの始末書提出指示に疑問をもっています。業務通りに処理したことで不都合な事態が発生した場合、当夜のインチャージ(当時遅番の責任者をこう呼びました)が責めを負うべきです。異常な注文の伝票がフロントキャッシャーにリアルタイムで届いている時、これをチェックできる立場にあったのはフロントキャッシャーでした。チェックインを担当するフロントレセプションには、チェックイン後のお客様の売掛発生状況はわかりませんし、担当外のことでした。

何はともあれ、良き時代でした。だれかが始末書を書くことで一件落着でした。それにより、だれのキャリアも傷がつくことなく、ババ抜きのようなものでした。何しろセレブの顧客から頂戴するチップが給料を上回る時代でしたから、会社も従業員も細かいことにこだわる必要はありませんでした。

吉野輝一郎