アナログなゴミ | 団塊世代の"愚考にため息"

団塊世代の"愚考にため息"

ふと思い出す過去の出来事と後悔。次々と、浮かんでは消えていく愚考を書きとめていけば、いつかはネタ切れになるはず。きっとその後は、良き日々の思い出だけが浮かんでくるにちがいない。

その道のプロ、マイスター、匠、大御所、神様などと呼ばれる人たちは、本人独自のアナログな知恵を財産として所有しています。

「教えない、学べない、だから盗め」といわれますが、盗まれる本人たちは、盗まれることに危機感を持っていない人が本物だと思います。本物なら、簡単に盗めるわけがありません。本物なら、盗まれても、財産をすべて失うことはありません。

IT技術とか特許とか、工業製品、ビジネスモデルとかは、仕様やアイデアを盗まれると優位性がなくなってしまうものが多いですが、アナログの暗黙知は、本物であれば、心配ご無用ということです。

暗黙知は、その人にとって、特定の場所で、その時に身につけたもので、それゆえに意味と価値があるものです。第三者が別の場所で別のタイミングで異なる環境でまねしても、本来の価値はコピーできないでしょう。

ベテランやトップセールスマンは、成功の秘訣を聞かれても明確に答えません。なぜ成功したかは、理屈で説明できないようです。反対に、失敗事例の場合は饒舌になります。言い訳が次々にでてきます。

一般のしがない勤め人としては、成功事例を後講釈で説明する必要はありません。結果で評価する会社なら、結果だけを評価してもらえればいいので、成功するための仕掛けを開示したら損だと思います。情報共有は結果主義の評価制度では、うまくいきません。横並びで平等に利益を分けるという制度ではありませんから、自分の狩猟場は、公開しません。

狩猟場を公開せず、独自の仕掛けは秘密にし、知恵の共有は拒みます。そして暗黙知には漏洩の心配がありません。その人だけに意味のある知恵ですから、他人が盗んでもアナログなゴミとなるにちがいありません。