スピードと品質、若さ | 団塊世代の"愚考にため息"

団塊世代の"愚考にため息"

ふと思い出す過去の出来事と後悔。次々と、浮かんでは消えていく愚考を書きとめていけば、いつかはネタ切れになるはず。きっとその後は、良き日々の思い出だけが浮かんでくるにちがいない。

昔、先輩から聞いた「疲れたら休めばいい」というアドバイスを理解できるようになったのは、最近のことです。

守りの弱いところねらってゲリラ的に攻撃するのをいさぎよしとせず、皆が見ているところで壁が最も厚いところを選んでぶつかっていく、その玉砕過程に美学を感じる集団。彼らにとっては、疲れたら休むというのは、敵前逃亡、日和見主義にほかならず、総括の対象でした。

選択と集中の事業マインドをもつと、休んだらいいというのは、弱気な態度としか思えませんでした。導火線に火がついた重い荷物を背負い、だから疲れたといって休むわけにはいかなかったのです。

次にやってきたスローガンはスピードと品質でした。疲れたら休めでは、勝ち残りが難しいです。疲れてスピードが落ち、品質に問題が出たら、レッドカードで退場という企業が注目を集めました。若手登用、男女雇用機会均等などを口実にして「スピードと品質、若さ」でふるいにかけて、暗黙知という知的資産をもったベテラン従業員を放出した企業が出てきました。

その結果、老舗や一国を代表するような優良企業は、暗黙知を評価しない経営幹部とビジネスマナーを軽視するIT小僧たちのおかげで、初歩的なミスを繰り返し、高い授業料を払い始めています。