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イラスト:炭酸水
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はじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説
☟前回文末部分
「……でも、郷研存続のための頭数は、大丈夫なんですか?」
まさか、部の存続を気にしていたとは。上目遣いに訊いてくる織田村と目が合う。矢儀は思わず、口元が綻んだ。
「そのへんは、どうにかするよ」
「……部長の前向きっぷりって、ある意味、幸せですよね」
おそらく皮肉を含んでいるのだろうが、矢儀は気にしない。
「……父さんから、教わったんだ」と、笑い飛ばす。
☟本日更新はここから
「え? お父さん?」
織田村は、歩きながら、きょとんとした面持ちで見つめてきた。
「俺さ、幼い時から、父さんのフィールドワークへくっ付いて行くのが、何より楽しくってさ」
「お父さんも、郷土史の研究をされているんですか?」
まさかの質問だった。矢儀は「あれ?」と、こめかみを抑える。
「俺、父親について、何も話しちょらんかったっけ?」
「ええ」と答えた後、織田村はまた、とんちんかんなこと口にする。
「兼行先輩は、知っているんですか?」
「兼行? ああ、たぶん、知っちょると思うけど?」
質問の意図がよくわからない。
頭上では、野鳥の高鳴きが響き渡る。道祖神までは、もう少しかかりそうだ。
「んじゃあ、退屈まぎれに、俺の身の上話でも聞いてくれ」
〜続く〜