途中からなので
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はじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説
☟前回文末部分
昨日、兼行と話した鷹の台の歴史について、まずは、織田村にも伝える。
「そもそも鷹の台は、戦後、引き上げ者のために整えられた土地なんよ。分水工の傍の看板にも書いてあったやろ。『高台に引かれた派川は、その後、戦後開拓の地となった鷹の台へ水路を伸ばし、今に至る』って。つまり、鷹の台が人の住める台地となり、道路が整備されたのは、近年の話なんっちゃ」
「じゃあ、今日通ってきた迂回路は?」
織田村は、すかさず訊いてくる。
☟本日更新はここから
矢儀は、結論から口にした。
「迂回路がメイン道路になりえない理由は、移動手段が徒歩やから。車や自転車なんてなかった時代だ。わざわざ遠回りになる道を、あえて選ばんやろ。それに――」
矢儀は手に持っていた枝で〝鷹の台〟の石の下側に、少し大きめの丸を描く。丸の中に、カタカナで〝ソノ〟と書いた。
「園の南側には、昔は何もなかった。ちょうど、ここに来るまでに、話題にしたやろ」
わかりやすく〝ソノ〟の下側に、バツを描く。
「じゃけぇ、今みたいに、園から町へ出ることは、昔はできんかったんよ。つまり、未遠から町へ出るには、仁保を通るしかなかった」
枝を〝未遠〟の石から〝仁保中〟の石へと動かした矢儀は、改めて織田村と兼行に向き合う。
「結局、時代や地理的なことを考えると、未遠の外へ通じるメイン道路は、峠越えしか考えられん」
「でも、峠を越える道なんて、どこにあるんですか?」
眉根を寄せる織田村に、「手がかりならある」と、矢儀は、来た道を振り返った。
「山の中で見た、歪な直方体の石。あれはおそらく、道祖神だ」
〜続く〜