土日祝日はお昼前後更新です
本日は
おやつ時になってしまった
よかったら
ティータイムのひと時に
サクッとどうぞ
途中からなので
下記☟
”これまで”を
お読み頂けたら
嬉しいです
はじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説
☟前回文末部分
「タオ?」
「峠のことだよ。タオって言うじゃろ」
「知りませんよ。僕、生まれも育ちも東京なんで」
矢儀は軽く肩を竦め「山口じゃあ、峠のことをタオって言うんよ」と教える。
「池田さんの言ってた〝カミダオ〟は察するに、神様の〝神〟に〝峠〟と書いてカミダオかと」
手に持っていた枝で、空中に〝神峠〟と書きながら、矢儀は続ける。
「つまり、この辺りには、かつて山越えの道が通っていた可能性が高い」
☟本日更新はここから
「そうなんですか?」
きょとんとして尋ねる織田村に、矢儀は念のため確認する。
「一応訊いとくけど、おまえ、そもそも峠が何なのかわかっちょる?」
「わ、わかってますよ! 山の……上のほうでしょ」
「……まぁ、ものすごく大ざっぱに言えばそうやの」
矢儀は枝で、近くの拳大の石を指した。
「この石を山とするなら――」
枝で、石を下から上へぐるりと撫ぜる。
「峠とは、山道を登りつめて、そこから下りになるところ。つまり、山越えの道の、尤も標高が高いところだ」
言いながら、枝で石の上を叩く。
「問題は――」
矢儀は、背後を振り返り、二人に問うた。
「この山を越えたら、どこへ出ると思う?」
西の空を背に抱く山並みは、すでに陰り帯びている。
兼行からも織田村からも返答はない。
〜続く〜